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連載:第2回 日経ホームビルダー「掃除がラクな家のつくり方」

建築業界初となる掃除専門家の連載がスタート! 雑誌「日経ホームビルダー」(2008年10月号・日経BP社)より、クリーンプロデューサー「植木」による建築企画【掃除がラクな家の作り方】の連載がスタートしました。
家を建てた後から掃除を考えるのではなく、掃除メンテナンスを考えた家づくりを紹介します。ハウスクリーニングなど住居における掃除問題の解決手法を、掃除現場の声と共に家を建てる側の専門家に向けて情報発信をしていきます。掲載内容は、当HPの連載企画 「掃除がラクな家の構想案」の一部を抜粋したものとなっています。

「日経ホームビルダー」は、工務店、ハウスメーカーをはじめ設計事務所、建材・設備会社などで戸建て住宅の設計、施工に携わる方々に、住宅の性能、コスト、顧客ニーズへの対応など技術や営業、経営、市場に関する最新情報やノウハウを読みやすく、わかりやすく紹介する実務情報誌です。
詳しくは: http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/HB/

連載:第3回 「お掃除ニャンポイント講座」

当社初となる連載! 雑誌「猫生活」(2008年11月号・緑書房)より、当社のクリーンプロデューサー「植木」によるお掃除企画【お掃除ニャンポイント講座】を連載中!。第3回目は、猫のスプレー対策について紹介しています。その他にも、猫課★報告書(ブログ)担当「しずく」による【猫課4コマ劇場】にて、猫社員も毎回登場しています。また、ペットと快適に暮らしていくためのお掃除情報については、当HPのペットtoベストまで。

掃除の方程式と基礎知識 /第一編:掃除 第二章

 

 ■ 第2章 掃除の方程式と基礎知識

「掃除の方程式と基礎知識」制作にあたっては、私が取得している厚生労働大臣認定資格【ビルクリーニング技能士】・【建築物環境衛生技術者】・【清掃作業監督者】などの教科書を参考資料としている。資料となる教科書は幅広い知識と作業方法などが紹介されているのだが、情報量が多く現場で活用するには本を持ち歩かなければならないほどである。実際に私も常にかかわりのある内容以外は、時間が経過するにつれてほとんど覚えていない。さらに、様々な掃除方法も紹介されているが、必ずしも同じ状況ではないためそのまま活用するには不安も残る。なぜなら、建物は様々な環境要因により個々の形状や構造をしているので、掃除もそれに合わせた作業方法が求められるからである。
もっと現場で活用しやすいように方程式的なものができないだろうかと考え、個人的に掃除の基礎知識をまとめてみた。
これは、より多くの人に理解や活用してもらえるよう、教科書の中から掃除に必要と思われる基礎知識と私の現場経験を基に、シンプルにまとめた「掃除の基礎知識」である。 


* 掃除の国家資格【ビルクリーニング技能士】・【建築物環境衛生技術者】・【清掃作業監督者】などの教科書や専門資料の画像

 

 ■ 2.1 住まいの掃除と健康

住まいとは、睡眠や休息を取ったり、子を育てたり家族と暮らすなど、生活の中で多くの時間をすごし、人生にとってなくてはならない大切な場所である。住まいを掃除する目的は、ゴミやほこり、汚れなどの異物を除去する事によって、室内の環境を衛生的に保つことや、建築材料の劣化などを防ぎ、家の美観を高める事である。その中でも一番重要なことは、人体に害を与えるような異物(汚れ)を人間の生活空間から排除し、「衛生的な環境を確保する事」である。つまり、住まいの掃除をすることは、人と家の健康に深い関係を持っているといえる。そんな住まいの掃除と健康について簡単に説明する。 

現代主流の密閉化された室内では、掃除をしないと人体に悪い影響を与える恐れのある各種汚染物質の外部侵入や、日常生活に伴う内部発生により、汚れは溜まっていく。アレルゲンともなるハウスダストや、ウイルスなどを含む汚染物が人間の生活環境に存在すると、空気中の浮遊物となって体内に吸収されたり、人体に接触して摂取されるなど、二次的な衛生上の害を発生させる危険もある。住まいの掃除は「人体に影響するような汚れを除去する」という大きな意義を持っていることになる。

 

   

健康の概念は世界保健機関(WHO)*1の健康の定義によると、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱ではないといわれている。(昭和26年官報掲載の日本語訳) 
生活の中で多くの時間をすごす住まいの環境が衛生的に保たれるという事は、身体的・精神的にも良好な状態を作る効果があり、日常生活や仕事にも良い影響を与え、結果、社会的にも良好な状態につながると考えている。このことからも、掃除とは、居住者の健康にとっても重要な要素であるといえる。
*1世界保健機関(せかいほけんきかん、World Health Organization、WHO)は、健康を基本的人権のひとつととらえ、その達成を目的として設立された国連の専門機関。 

● 2.1-1  予防対策
人の健康は病気になってから対処するのではなく、病気にならないための予防を積極的に行うことが大切とされている。掃除も同じで、汚れたから掃除をするのではなく、汚れないよう積極的に掃除(予防)をすることが大切である。したがって、掃除をラクにするための予防対策をすることは、衛生的な環境を維持しやすくなるので、人の健康にとってとても大切な事といえる。

● 2.1-2 住まいの掃除とその知識
掃除は、住まいから汚染物質(汚れ)を除去する事で、衛生的な環境を確保することだが、居住者のライフスタイルも様々なため、その作業範囲は広く内容も多種多様となる。そのため住まいの掃除といっても、何から考えればよいのか迷うほどである。
そこで、ビルクリーニングにおける建築物清掃の分類方法を、住宅に置き換えて考えてみる。住まいの掃除を大きく3つに分けて、”室内の掃除”、”外装の掃除”、”ゴミの管理”として考える。3つの中でも”室内の掃除”は、衛生的に生活するためにも日常的に行う必要があり、1番重要な掃除となる。”外装の掃除”は汚れの頻度により不定期に行うものが多くなるが、家を守るうえでも大切なことである。そして掃除の一つとして、住まいに発生する”ゴミの管理”も衛生上重要な事である。これら住まいの掃除を、室内の掃除・外装の掃除・ゴミの管理の3つに分けることで、各作業範囲においての掃除方法(汚れやゴミを除去する)を考えやすくなる。
このように掃除についての知識があると、効率よく効果的に掃除を行うことができる。しかし、掃除の知識といってもその数は膨大な量となるので、掃除の基本的な考え方と必要な知識を簡単にまとめた「掃除の基礎知識と方程式」を次で紹介する。掃除についてもっと詳細な知識を得たい方は、ビルクリーニング技能士・建築物環境衛生管理技術者・清掃作業監督者などの国家資格取得をお勧めする。 

 

 

 ■ 2.2 掃除の基礎知識と方程式

掃除の国家資格取得の際に勉強した、テキストや資料はかなりの量になる。それは、思っている以上に建物の掃除やメンテナンスに関する適用範囲が広いことや、必要とされている知識の量が多いいということである。そのなかでも、建物の掃除に関する項目だけでもかなりの量となる。しかし、それら全てを実際に現場で活用できるかというと、ほとんどの人が出来ていないものと考えている。もちろんテキストや資料に書かれていることは重要なことではあるが、それらを全部覚えることも困難であるし、何より各現場により環境や状況が異なるため、その都度自分たちで考え対応しなければならないからだ。
現場では新しい建材や建築技術が取り入れられていくため、必然的に掃除する側も新技術への対応が求められ、建築の進歩に伴い掃除方法も進化していかなければならないのである。マニュアルでは対応しきれない現状に、卓上の理論と現場とのギャップを感じる瞬間でもある。この、生モノともいえる現場で臨機応変に掃除方法を考えるための有効な手段はないものかと日ごろから考えていた。そして、掃除とは?掃除方法とは?などを改めて考えてみた。
テキストや資料から掃除に必要な知識を分類し、それらの基礎知識をシンプルに考えていくと、ある方程式が見えてきた。
建物の環境や状況により様々に変化する掃除方法をxとした場合、答えを出すために必要とされる知識は「建材の知識」・「汚れの知識」・「洗剤の知識」・「用具の知識」・「作業方法の知識」・「保護剤の知識」となる。

 

 この理論を現場作業に置き換えてみると、現場で実際に掃除をするときは、まず「何所に? どんな汚れ?」が付着しているかを理解する事が大切であり、それをもとに掃除方法を決定することになる。

① 何所に、どんな汚れ?
掃除の対象となる、場所と汚れについての現状分析を行う。住まいの汚れは建築材料(建材)に付着しているため、何所に(建材の知識)汚れが付着しているか、どんな汚れ(汚れの知識)が付着しているかを識別し、分析の結果をもとに掃除方法を決定する。

② 掃除方法の決定!
掃除方法を決定するには、除去力として化学的な力(洗剤の知識)と物理的な力(用具の知識)を、効果的に活用(作業方法の知識)する必要がある。最後に、汚れが再度付着したときなどを考慮する場合は、予防掃除として建材に防汚コーティングなど(保護剤の知識)を施すとよい。

「何所に?どんな汚れ?」が付着しているか分析 → 分析結果を基に掃除方法の決定
まとめると、掃除の基礎知識として必要とされるのは、「建材の知識」・「汚れの知識」・「洗剤の知識」・「用具の知識」・「作業方法の知識」・「保護剤の知識」となる。これらの知識を効果的に活用するためのアイテムとして掃除の方程式を考案した。

● 2.2-1 掃除方法を導き出す、掃除の方程式 …(うえきの方程式)
★現場的思考で表現すると・・・
掃除方法x =(何所に?・どんな汚れ)分析→(除去力の選定・除去力の活用法)+予防掃除
★現場的思考から理論的な知識に落とし込み表現すると・・・
掃除方法x =(建材の知識・汚れの知識)分析→(洗剤の知識・用具の知識)作業方法の知識+保護剤の知識

 

   

実際に数学の方程式とは少し異なるが本質的には似ており、ネーミングのインパクトを考慮した結果「掃除の方程式」と名付けた。
現場により環境や状況が異なるなかで、掃除に対するある程度の条件が決められてくる。使用されている建材や付着している汚れやその周辺の環境などである。また、依頼主から予算や作業内容の一部を限定されることもある。現場では、そういった様々な状況の中でも効果的な掃除方法を考えなければならない。
そのようなとき、資料やテキストや現場経験など数多くある様々な掃除の知識も、分類して上記の方程式に当てはめてみると掃除方法が導き出される。もちろん方程式を使う人の掃除知識の量や幅により掃除方法は異なってくるのだが、方程式を使用する人なりの掃除方法を考えやすいものとなった。ここで大切なことは、各知識をバラバラで考えるのではなく、上記図のようなビジュアルで知識の活用法を覚えておくことがわかりやすいと思われる。

 

次回からは、掃除の方程式で活用する6つの基礎知識について順に紹介していく。

掃除について考える・住宅建築と掃除の関係 /第1編 第1章 その1〜2

■ 1.1 掃除について考える
十数年以上さまざまな現場で掃除作業をしてきたが、その奥の深さとともに矛盾も感じる。
毎年新しい建築技術や素材などが開発されて、それに伴い付着する汚れやその除去方法にも変化が生じるため、掃除についての技術や知識も進歩していかなければならない。
その半面、現場で掃除方法を試行錯誤している時など、「この部分は汚れやすくて掃除が大変だから、建てる時にこうすればもっと掃除がラクになるのに・・・」と度々思う。それは、様々な現場で色々なものを掃除してきた中には、”掃除がラクなものと大変なものがある”ということを感じていたからである。やがて、その思いは作業現場にとどまらず、街を歩いていてもそこに立つ建物の外観を見て「外装のあの部分はどうやって掃除をするのだろう?」とか、建物に入ると室内環境や家具や置いてある商品に至るまで「この部分をこうすれば掃除がラクになるのに・・・」など、つい掃除について考えてしまうことが多くなった。そしていつも同じ結論に達するのだが、ものづくりの際に、掃除のことも考えて作れば、もっと掃除がラクになるということである。

今回の連載企画は、私自身が家を新築しようと思い「どんな家を建てようか?」と考えたとき、掃除の専門家として以前から思い描いていた「汚れにくく、掃除がラクな家を建てたい」と思ったのが始まりである。
自宅を新築するにあたり建物と掃除について研究を始め、国家資格で得た知識と長年の作業経験から掃除の基礎知識をまとめ、それを基に「掃除の方程式」や「掃除がラクになる法則」を考案し、それらを活用して「健康住宅・掃除がラクな家」の構想案を制作した(2005年製作開始~初期構想案完成2007年5月:原稿100枚以上)。これらの方程式や法則は、掃除現場の声でもあり、建物の掃除をラクにするための重要な役割を果す“新しい建築技術”の1つであると考えている。

構想案では、現行の建築技術や発売されている建材を使用することを前提に、掃除がラクな家のつくり方も提案している。汚れが付着して掃除作業の対象となる建材についても、掃除現場の経験だけでなく実際に各ショールームに行き、新商品の使い心地や清掃性などを検証してきた。
例えば、ハウスクリーニングで作業依頼の多い水廻りなどは、TOTO・INAX・サンウエーブ・クリナップ・YAMAHA・ナショナル(現Panasonic)の各社ショールームへ実際に行き、掃除のしやすさやレンジフードを分解してみるなど、日常的な居住者の掃除から、プロとしての立場の両方から調査を行なった。
ショールームの従業員は、お客が一人でいきなり商品を分解している姿を見て、驚き声をかけてくる人や、怪しい人を見るように距離をおいて私を監視している人などもいた。
また、窓サッシについてはYKK AP・新日軽・トステムのショールームで商品を使用してみたなかでの、清掃性について検証してきた。その他、サンゲツのショールームや販売店舗や建材各社のカタログやホームページなど、色々調査を行ってきた(調査期間は主に2006.12月~2008.3月ごろまでで、各建材の調べた時期などには誤差がある)。
共通して言えることは、建材の技術進歩は速く各社新商品を次々と発表しており、商品特徴や使用感を考えて掃除がラクそうな建材を選ぶことは出来るが、新商品ほど経年の汚れに対する調査は出来ず、居住者からの掃除依頼もないため、確実なことは言えない一面もあった。

また、構想案をさらに研究していくと、現行の技術や建材では対応しきれない掃除問題点に直面し、その解決案として「掃除をラクにするためにこんな技術や建材や住宅設備などあれば・・・」という思いを、様々なアイデアや新商品として提案している【新・掃除がラクな家の構想案】(2008年6月:原稿100枚以上)もできているのだが、こちらは仮設予想や個人的な見解が強く出ているため情報公開については検討中である。

ちなみに、研究および企画の製作はClean Producer 植木照夫が1人で行っており、全てを1人で行ってきたため構想から4年の月日が過ぎたが、自宅はまだ着工すらしていない状況である。家族のためと思い全力で頑張ってきたのだが、あまりに長いとクレームが出ている。
*「掃除の方程式」や「掃除の基礎知識」については後の第2章で紹介する。
*「掃除がラクになる法則」については後の第3章にて紹介する。
*「掃除がラクな家のつくり方」については第2編~ 紹介する。

■ 1.1-1掃除をラクにすることは、市場ニーズに応えた、新しい建築技術の一つ

「健康住宅・掃除がラクな家」の構想案では、住まいの特定した汚れに対し掃除がラクになる法則を活用して、設計や使用する建材などを組み合わせて総合的な予防対策を行っていく(細かく分けていくとかなりの数になる)。
これらは住まいの掃除をラクにするためのノウハウでもあり、住宅商品として考えた場合「掃除がラク」をパッケージ化しやすいものとなった。
しかし、どんなに優れた技術であっても市場が求めてなければビジネスとしては成立しないものである。
そこで、掃除をラクにすることのニーズの強さや、市場の広さについて簡単に紹介する。

【1】掃除をラクにすることを市場は求めている!

掃除業者の多岐にわたるサービスは依頼者からのニーズにより構成されており、メニューの数だけ掃除に対する問題があるということになる。また、掃除をラクにするという市場ニーズの範囲は広く、誰でも一度は「誰か代わりに掃除をしてくれないかなー」と思う事があると思う。
その他、日本国民の約30%が何らかのアレルギー疾患に悩まされていると言われており、国民病とも言われている。そのうち、住まい(室内)に起因するものとして吸入性アレルギー問題などがあり、掃除により改善できることがある。
さらに、少子化が進む現代、子供の数より登録されているペットの数が多いと言われる中、ほとんどの場合ペットを室内で飼育しており、家族として扱われている。そして多くの飼い主は掃除問題で悩まされている。
事実、建物に染付く臭いや汚れや建材の損傷などは、建物の健康性と資産価値を低下させる大きな問題となることもある。
*特に賃貸物件など臭い問題については、その後の入居率に大きく影響することもある。当社(ベスト)においても消臭作業の依頼もあり、ほとんどの場合下地や躯体まで臭いが染み付いており、リフォームを含む消臭作業で通常の掃除に比べ時間と費用が多く必要とされる。しかし、依頼者の多くは消臭剤で簡単に臭いが消えると思っている。

 これらのことからも、生活の中でとても身近な行為となる「掃除」をラクにすることは、キレイ好きだけどラクしたい現代人のニーズといえる。
なによりも、「貴方なら掃除が楽な家と大変な家、どちらを選びますか?」・・・。
そして、居住者の“掃除をラクしたい”ニーズは色々な資料からも確認できるので、一部紹介しようと思う。

当HPのトップページ(下部)でも紹介しているが、「ハウスクリーニング」という検索キーワードについて2004年10月~2007年の1月までのデータをグラフにしてみると、2年間で約4倍も増えていることがわかる。この他、トイレ掃除、風呂掃除などのキーワードも約3倍に増えているなど、掃除に関する市場の意識が高まってきていることがわかる。
この他、企業や調査機関などが発表しているアンケート資料などにも、居住者の掃除をラクしたいというニーズがうかがえる。

★マーケティング資料 1. ・・・TOTO㈱・2007年プレスリリースより→詳細
図2のグラフは.TOTOが2007年に発表したアンケート調査の「住宅設備と生活意識に関する実態調査」である。
注目すべき点は、「家事の中で負荷が大きいと感じるもの」の質問に1番多かった答えは【居室の掃除】とあり、3番目に風呂掃除、6番目にトイレ掃除など、掃除に関する答えが上位を占めており、住まい全体としての掃除問題の改善が居住者のニーズとなっていることがわかる。そして家事の中でも水廻りに関する問題も上位を占めていることから、新築やリフォームの際には大切なポイントとなる。

 

★マーケティング資料2・・・2008/2/14 マイボイスコム株式会社→詳細
マイボイスコムが行った『住宅メーカーのイメージ』に関する調査において、住宅メーカーに期待すること〔今後、あなたは住宅メーカーに対してどのようなことを期待しますか?[複数回答]2008年1月1日~5日に12,695件〕の回答を集めた資料に注目した。
【調査結果】◆まとめ

   

 注目すべきは「住宅設備の点検・清掃・補修などが容易」が44 %で5位に入っていることである。他の上位項目「耐震性の高い設計である」、「安定性の高い設計である」、「耐久性が高い」、「耐火性能が高い」、「設計から家造りまで安心して任せられる」などは、ハウスメーカーや設計事務所や工務店など業界各社が力を注いでいるため、市場における競争が激しい。各社差別化を図ろうとする行動が商品の多様化を生み消費者を困惑させる原因ともなる。
このことからも、「住宅設備の点検・清掃・補修などが容易」が44 %で5位に入っているという市場ニーズをいち早く取り入れることは、他社との差別化と市場優位性を向上させることに繋がるものと予想される。 また建物の掃除をラクにすることは、3位の「耐久性が高い」56.3%というニーズを強力にサポートすることにもなる。
ここで疑問に思うのは、「住宅設備の点検・清掃・補修などが容易」が44 %という高い数字で入っている市場ニーズに対して、本格的な指針や住宅販売が行われていないように思える。それは、現在までにそのような専門家がいない又は認知されておらず、活躍の場がないことも原因の一つではないだろうか。
このように、掃除問題の改善は市場のニーズであるということが分かる。

■  1.2 住宅建築と掃除の関係
掃除も健康もエコロジーも持続していくことが大切であるが、続けていくということはとても大変なことであり、10年20年と日常的に行うことだからこそ、ラクに行えることが求められる。そして、それらは可能なことであり、住まいの掃除は今までよりもっとラクにすることができるのである。そのためにも、住宅と掃除の関係についてまずは考えてみる。
家を建てるには建築家や建築業者などにより建てられるものだが、その家に対する掃除については、完成した後に対処するというのが現状のようである。
しかし、実際に生活をしてみると、汚れやすい場所や掃除が大変なものなど、様々な掃除に対する問題点が見えてくる。そして、住まいの掃除は日常的に行う事であり、それは居住者への大きな負担ともなってくる。「自分に代わって誰か掃除をしてくれないかな~・・・」と誰しも一度は思うことだろう。現実に、掃除業界でも”ハウスクリーニング”という分野がここ数年すごい勢いで伸びてきている。この結果の背景には、多くの人が住まいの掃除に対して、何らかの問題を抱えているということがある。
このことからも、住まいの掃除をラクにするためには、現在までの住宅と掃除についての関係を見直すことから始め、提案する新しい住宅と掃除の関係は、新築およびリフォームの際に構想段階から掃除についても考えて設計することを前提としている。

● 現在までの住宅と掃除の関係は、家が完成した後に、汚れや状況に応じて掃除方法を考えることが主流である
 

● 提案する新しい住宅と掃除の関係は、はじめから汚れや掃除のことも考えられて建てられた家は、汚れにくく掃除がしやすい家となる

   

現在、建物を建てた後に掃除を考える時代から、掃除も考えられた建物をつくる時代に来ているものと考えている。
健康住宅「掃除がラクな家」は、新築およびリフォームの構想段階から掃除対策を考えていくのだが、具体的にどのようなことを行えば掃除がラクになるのかを考える前に、掃除についての基礎的な知識を理解していることが求められる。
そこで、住まいの掃除についての知識を簡単にまとめた「掃除の方程式と基礎知識」を次回からの第二章で紹介する。