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住まいの掃除 /第一編 掃除 第一章

■ 第一章 住まいの掃除
住まいの掃除は、居住者にとって身近な存在であり誰もが行うことであるが、掃除についての知識や技術および掃除業界についての認知度は低いようである。住まいの掃除といってもその範囲は広く、個人で行う日常的な掃除から、専門業者が行う高い技術が必要とされる掃除まで多種多様となる。

掃除の専門業者にも様々な業態があり、個人でも行える掃除を代わりに行う家事代行業者や便利屋などのほか、専門的な技術が必要とされる各種の掃除業者など、業界内でも細分化されているのが現状である。

さらに、一般的にはあまり知られていないが、掃除にも厚生労働大臣認定の国家資格があり、建築物衛生関係法令などに基づき、建築物の清掃および維持管理などメンテナンスについての知識や技能を定めている。その内容は主に、多数の人が使用する特定(特殊)建築物の公衆衛生についてだが、住宅などの個人衛生としても同様のことが言える。それは、個人衛生の集まりが公衆衛生ともなるからである。今回の企画は、公衆衛生の知識を個人衛生に応用していく要素を含んでいる。

これらの建物と掃除について専門的な話をする前に、少し掃除業界について紹介したいと思う。

【1】 掃除業界
日常的に身近な存在でもあり誰もが行う掃除だが、その範囲は広くカンタンな掃除から高い技術が必要とされるものまで多種多様となる。そして、それに伴い掃除業者のサービス内容や専門性も細分化されてきた。

ビルやマンションといった大型建築物(特殊建築物など)の掃除を行う専門業者は、各掃除の作業量も多いため専門性が強く、床や室内など建物全般の清掃(日常清掃・定期清掃)を行う業者や、外壁や窓など高所の掃除を行う業者、害虫駆除・防カビ業者、空調ダクト清掃業者、貯水槽・浄化槽の清掃業者、養生引き渡しクリーニング業者、原状回復クリーニング業者などなど、清掃業者も多種多様である。

(*ちなみに、ベストでは掃除に関する多くの専門メニューに対応しており、掃除の国家資格を持つ1人の職人が多くの技能を身につけオールマイティーにできるように努めている。一人の職人が総合的な掃除の技能を身につけることで、建物全体の状況を把握でき、質の高いトータルクリーニングを提案できるからである。反面、良い職人が育つまでに多くの時間が必要となるため、人材育成が困難といったデメリットもある。)

下の画像はベストの工事主任:クリーンマスター「市川」。一人の職人が多くの技術を持つ。

もともと掃除の各種国家資格も、多くの人が利用する公共性の高い特定(特殊)建築物の衛生管理のために法律ができ(建築物における衛生的環境の確保に関する法律…通称:建築物衛生法)、それらを全うするための知識や技能の取得を目的としている。つまり、公共衛生については国(厚生労働省)の管轄ともいえる。
また、これらの大型建築物業界の掃除専門業者がハウスクリーニングを行っている場合もある。事実、国家資格のテキストにもハウスクリーニングについての項目がある。

反面、個人衛生となる住宅になると民間の要素が強くなり、個人が行う日常的な掃除を代わりに行う家事代行業者や便利屋などのほか、人気のある限られた掃除メニューをマニュアル化して素人を20日程度の研修で誰でも掃除のプロになれるとしている、大手ハウスクリーニング会社などがいくつもある。
(*ちなみに、掃除の国家資格を取得するためには基本的に最低3年の実務経験が必要とされる)

メリットとしては人材の育成が短期間で行えるため多くの顧客ニーズに対応することができ、ハウスクリーニングという分野を大きく躍進させてきた。掃除のプロという存在を、一般的に広く認知させて居住者からも身近な存在となった。

どちらが優れているという問題ではなく、こうした業界の全体像が不透明であり、依頼者のほとんどは掃除業界の多岐にわたる専門性について知らないことが多い。一般的には掃除のプロという形で一括りにされているようだ。

事実「8日間の研修であなたもプロのお掃除屋」といったベンチャー企業の広告を見たことがあるのだが、「簡単で私でもこんなに儲かりました!」的なことしか書いていなかった。その他、便利屋や家事代行業者などは基本的に「居住者の代わりに」行う作業のため、掃除の国家資格や大手ハウスクリーニング会社のマニュアルとも違い、個人的に開業している業者も数多く存在する。こうした背景からか「掃除は誰でもできるでしょ?」といわれた事も1度や2度ではない。

ある意味間違いではないのだが・・・

「料理」で例えるなら、誰でも作れる簡単なレシピの料理もあれば、高い技術を持つ一流のコックにしか作れない料理もある。どちらも料理といえば料理だが、内容に大きな差がある。掃除も作業を行う者により仕上がりに大きな違いが出てくるものである。

どの業界でも同じことがいえると思うのだが、数こそ少ないがその道を極めようとする高い技術を持つ職人や、様々な問題点を解決するクリエーターがいるものである。そして掃除のプロもいろいろあるので、必要に応じた(適した)業者を調べて選択することができるのである。

仮に同じ物を掃除するにしても依頼者の求める掃除の仕上がりによって業者が異なる。
つまり掃除も、低料金で自分の代わり又は少しレベルの高い仕上がりで良い人と、多少価格が高くても質の高い仕上がりを求める人がいて、両者の求めている掃除業者が異なるということである。

しかし、混沌とした掃除業界で的確に業者を選出するのは困難な状況であるのも確かである。

このような業界の背景も、掃除職人に対する偏見や掃除現場からの声などが、なかなか世間に伝わりにくい環境を作り出している要因の一つと思われる。