トップ>連載企画>第29回 掃除がラクな外装 ーその1 /第五章

連載企画:健康住宅・掃除がラクな家の構想案

掃除がラクな外装 ーその1 /第五章

住まいの、外壁、窓ガラス・サッシ、屋根などの外装は家を守る鎧であり、顔ともなる部分となり美観を保つうえでも大切な場所である。外装は車の排気ガスや紫外線、風雨、などで汚れたり劣化していくため、定期的な掃除・メンテナンスをすることが、建築物の寿命を延ばすこととなる。このことからも、外装の掃除・メンテナンスがラクになるように、新築およびリフォームの際に構想段階から「掃除がラクになる法則」を採り入れて、掃除がラクな外装について対策していく。数多くある外装材のなかでも、ここでは主に外壁を例に話を進める。

    

 

5-1 外装の汚れ対策
5.1.1 外装の「汚れ」を分析する
住まいの外装(外壁・窓サッシ・屋根)は、使用しないでも相当の期間が経過すれば汚れが見えてくる。外装の表面に付着する汚れは、主に自然的な原因によるものである。
 
① 空気中に浮遊混在している粉塵・花粉・炭素粒子などが気流に運ばれて、建築物に接触し、あるいはわずかな隙間から内部に侵入して建材などに付着する
② 雨水の中に混在している異物や壁面などにたまった汚れが、降雨とともに建築物に付着および壁面などを伝って流れ出し、雨水の乾燥とともに固着する
③ 動物類の活動やフンなどで汚れる(ねずみ、鳥、その他)
④ 微生物(カビ・コケなど)や害虫などの発生によって汚れる
⑤ 空気中に含まれる化学物質や酸性雨などにより化学反応して汚れとなる
*掃除の基礎知識 → 汚れの知識を参照

①~⑥の汚れが付着する自然的原因は、地域や立地条件など建築物の外部環境によりそれぞれ異なるため、汚れを特定する場合は各家の外部環境により考えることとなる。しかし、自然的原因そのものを防ぐことは不可能といっても良いほどである。そこで、①~⑥の汚れが付着する自然的原因を考慮して、汚れが付着しにくく、汚れても掃除がラクな対策を考えていく。

 

5-1.2 掃除がラクな外装とは
外装の美観を保つためにも、数年単位で定期的に掃除・メンテナンスをすることが、建物の寿命を延ばすこととなる。「うえきの法則」をもとに外装掃除をラクにする4つのポイントを挙げると下記のようになる。

【1】外装掃除をラクにするための対策ポイント
1. 防汚コーティングによる汚れにくい環境
2. 外装の凹凸を無くすまたは使用場所や形態を工夫する
3. 掃除がラクな外装材を使用する
4. 外装の掃除がラクな作業環境を作る

 

5-2 防汚コーティングによる汚れにくい環境
防汚コーティングとは、外壁材の表面を樹脂や薬品などで処理することによって薄い皮膜で覆い、建材を保護および機能性を維持させる事、またはその皮膜自身をコーティングと呼ぶ。現在外壁のコーティングで主流となっているのは、光触媒、樹脂性、親水性、その他のもので、コーティングの種類や性能は各メーカーや商品により異なる。外壁にあらかじめコーティングされている商品がほとんどだが、コーティング剤だけでも数多く発売されており、専門業者による外壁のコーティングサービスなども行われている。

 【1】コーティング(皮膜)の分類 

   

 
(1)光触媒皮膜
酸化チタン光触媒は、紫外線を照射する(太陽光にも含まれている)ことで超親水性と有機物分解の2種類の機能が生まれる。超親水性機能を住宅の外装などに応用すると雨水と共に汚れを一掃して、窓や外壁を常にキレイに保つことができる。 

 

(2)樹脂皮膜(耐久年数:フッ素12~15年、シリコン10年程度、ウレタン7~8年)
1例) 速硬化性・無溶剤のコーティング用ウレタン樹脂皮膜
コーティング皮膜はウレタン特有の弾力性に富み、耐衝撃性に優れた強靱な性質を示す。さらに、その弾力性はハードからソフトまで種類も豊富なのが魅力である。また、たわみ性や耐薬品性などの性能に優れ用途が広がる。

(3)親水皮膜
コーティングした建物外壁表面は、雨水に馴染みやすい超親水膜になるため油性の汚れがつきにくく、付着した汚れも雨水とともに洗い落とされる。(セルフクリーニング効果)また、有機物が一切含まれていない無機物なために、静電気が生じにくく、ホコリなども吸着しにくくなるという特徴をもつ。 

(4)その他の皮膜
本文では、光触媒皮膜、樹脂皮膜、親水皮膜、以外のコーティング剤をその他の皮膜と分類する。コーティング剤には多くの種類があり、使用する建材の種類や目的の違いによってもコーティング剤の選択はそれぞれ異なる。

 

5-3 外装の凹凸を無くすまたは使用場所や形態を工夫する
外装も凹凸が無く平らな表面形状のものは掃除がラクである。また、凹凸の種類によっては掃除がラクなものもある。家全体の外観の凹凸について考えたり、各部位で使用される外装材の凹凸などについて考え対策をする。例えば、壁面についても凹凸が無いほうが掃除はラクであるが、凹凸の種類によっても掃除作業に違いが出てくる。同じ凹凸でも壁面に使用する場合、タテ方向で上下に伸びる凹凸(溝)と、ヨコ方向に平行して伸びる凹凸(溝)とでは汚れかたに差が出る。汚れは雨などと一緒に外壁を伝って上から下に流れていくものが多いので、ヨコ方向に向かって凹凸(溝)があると、その数だけ汚れが付着しやすい場所を作ってしまう。さらに、掃除をする時も水や洗剤を使用する際は、外壁の上から下へ向かって掃除をするので、水の流れをさえぎらないタテ方向の凹凸のほうが汚れにくく掃除がラクであるといえる。さらに、凹凸の各幅が広く形状も単純で段差が少ないなども、掃除のしやすい凹凸となる。

 

   

 その他、凹凸が激しく汚れやすい外装材であっても、掃除がラクな作業環境を作ることで対策する。例えば、石垣などのように使用場所を地上から2m以下にすることで、高所作業ではなく通常の掃除作業として行える。 

   

 

 5-4 掃除がラクな外装材を使用する
掃除がラクな外装材とは、掃除についても考えられている商品(外装材)であり、その特徴や性質などは各メーカーや商品によりそれぞれ異なる。市販されている一般的な住宅用の外壁材については、各商品ともそれぞれ防汚コーティングなど、掃除についての対策がされている物が多いので、それらを吟味して選ぶとよい。その他、表面の形状は凹凸が無い又は掃除がラクな凹凸をしているものを使用したり、汚れの目立たない色や模様の外壁材を選ぶなどがある。外壁素材の種類は多く、家の建築工法(木造・鉄骨・鉄筋コンクリートなど)や予算によって選択できる素材の種類が限定されることもある。しかし、外壁素材の種類によって掃除がラクになるわけではなく、掃除についても考えられている商品(外壁材)を使用することが大切であり、それらを使用することで居住後の掃除がラクになるのである。 

 
【1】外壁素材の種類
外壁素材には多くの種類があり、様々な機能性やデザイン性を持ち合わせている。外壁素材を大きく分けると次のような種類に分類することができる。
① サイディング
サイディングとはパネル状の外壁材で、窯業系と金属系、木質系などがある。使用するサイディングの種類にもよるが、一般的に7~8年位でメンテナンスが必要といわれている。

② 塗り壁
塗り壁とは、セメントや水などを混ぜて、作ったモルタルを下地にして、樹脂系の素材や漆喰、珪藻土を塗装する方法。一般的に7~8年位で再塗装が必要といわれているが、使用される塗料のタイプ(アクリル系・ウレタン系・シリコン系など)によって耐用年数に違いがでてくる。

③ タイル
タイルとは、粘土を主原料に各種の鉱物を混ぜて板状に成形し、焼成した素材のことをいう。タイル自体の耐用年数は比較的長いのだが、目地に使用されるモルタルや防水コーキングなどの点検およびメンテナンスは、数年単位で定期的に行うことが望ましい。

④ ALC
ALCとは「オートクレーブトライトウェートコンクリート」の略で、オートクレーブトは気泡、ライトウェートは軽量を意味し、軽量気泡コンクリートの事を指す。ALC外装の表面加工を塗装やその他の仕上げ素材にするなど、どのようにするのかにより耐用年数に違いが出てくる。

⑤ その他
レンガや大理石や木など様々な外壁材があり、素材の違いや素材表面の仕上げ方法により耐用年数に違いが出てくる。

 

 

 次回は、掃除がラクな外装--その2 を紹介する。

連載目次