トップ>連載企画>第8回 洗剤の知識 (化学的な力) /第1編 第4章 掃除方法の決定 その2

連載企画:健康住宅・掃除がラクな家の構想案

洗剤の知識 (化学的な力) /第1編 第4章 掃除方法の決定 その2

 

 

■ 掃除方法の決定

何所にどんな汚れが付着しているかを理解したら、次に掃除方法を決定する。そのためには汚れを除去するための力として、化学的な力(洗剤の知識)と物理的な力(用具の知識)を効果的に活用(作業方法の知識)する必要がある。最後に、汚れが再度付着したときを考慮する場合は、予防掃除として建材に防汚コーティングなど(保護剤の知識)を施すとよい。

洗剤を使うのか?→ 用具を使うのか?→ どのように作業するのか? ←予防掃除は?

   
掃除方法を決定するための手順としては、洗剤の力や用具の力といった「除去力」の選定をはじめに行い、それを活用した掃除作業の方法を決定する。したがって、作業方法を決定する前に「洗剤の知識」や「用具の知識」といった除去力に関する基礎知識が必要とされる。その後、除去力を活用するための作業内容や作業手順といった、「作業方法の知識」も必要とされる。最後に掃除方法を決定する際、汚れ除去作業終了後の予防掃除の一つとして、防汚コーティングを施す場合には「保護剤の知識」が求められる。

 

 

● 2.4-1 洗剤の知識(化学的な力)

   
掃除で必要とされる化学的な力の代表は洗剤である。掃除を行う時に洗剤を使用する事はとても多く、汚れを除去するためにも洗剤は必要不可欠といっても過言ではない。また、 "こすり取る"または"削り取る"などの物理的な力を使わずに、洗剤を使うだけで汚れを除去できれば、建材を傷つけるリスクを軽減させる事ができるし、作業もラクになる。しかし、使い方を誤ると建材を損傷させたり、汚れやすくなったりする。そのため少なくとも、分析された汚れを除去する際、洗剤は必要なのか、どんな洗剤を使用するのかなど、洗剤の必要性や分類を知る事が求められる。さらに、洗剤を上手に使うためにも洗剤の知識が必要とされる。

★洗剤の基礎知識
(1)どんな洗剤があるのか洗剤の分類を知る → (2)洗剤の上手な使い方を知る

 
 

(1) 洗剤の分類
住まいで使用する一般的な洗剤選びのポイントとしては、掃除をする場所や汚れに対してそれぞれに対応した洗剤が販売されているので、目的にあった製品を選ぶと良い。また、製品の示すpH値の違いによって、中性洗剤・アルカリ性洗剤・酸性洗剤や、添加剤などによって溶剤入り洗剤、研磨剤入り洗剤、酵素入り洗剤などに分類することもできる。

 

  * 一般的に洗剤というと合成洗剤のことをいう。しかし、近年話題となっている重曹や酢などを使用するナチュラルクリーニングなどは、洗剤ではないが化学的な力を上手に使っている掃除方法である。

家庭用洗剤などの家庭用品には「家庭用品品質表示法に基づく表示」により、「品名」・「成分」・「液性」・「用途」・「正味量」・「使用量の目安」・「使用上の注意」・「特別注意事項」などの表示が定められている。ちなみに、家庭用の合成洗剤にはつぎに記すような表示が義務付けられている。

 経済産業省より http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/hinpyo/i_zakka/zakka_rei.htm 
(4ー1)合成洗剤

ア)対象となるものは、主な洗浄作用が純石けん分以外の界面活性剤の働きによるもので、研磨材を含むもの及び化粧品は除きます。

イ)「品名」は、「洗濯用合成洗剤」「台所用合成洗剤」「その他用途を適切に表現した用語に合成洗剤の用語を付したもの」のいずれかを表示します。

ウ)「成分」は、「界面活性剤」の含有率が規程により定められた以上のものについて、系別及び種類を指定された用語により表示します。また、りん酸塩など洗浄補助剤が規程により定められた含有率以上含まれているものについては、その機能を示す名称の次に括弧書きで種類を表示する必要があります。これらのほか、蛍光剤、酵素、漂白剤を配合している場合は、それぞれ「蛍光増白剤」「酵素」「漂白剤」の用語を付記することとなっています。

エ)「液性」は、規程に定められた水素イオン濃度(pH)の区分に従い「アルカリ性」「弱アルカリ性」「中性」「弱酸性」「酸性」のいずれかを表示します。

オ)「用途」は、その用途を適切に表現した用語(野菜・果物用、食器用など)を用いて表示します。

カ)「正味量」は、計量法に規定する表示をします。単位は「キログラム」「グラム」「リットル」「ミリリットル」のいずれかで表示します。

キ)「使用量の目安」は、使用の適量について具体的(洗濯容量、水量との関係)にわかりやすく表示します。

ク)「使用上の注意」は、製品の品質に応じて必要な事項を適切に表示します。

ケ)「特別注意事項」は、文字の大きさや色、枠を設けるなど規程に従い、容器ごとに目立つ箇所に表示する必要があります。


(2) 洗剤の上手な使い方
洗剤を上手に使う7つのポイントをつぎに記す。 (ベストHPおそうじ教室洗剤マスター ・参照)

1. 取扱説明書は必ず読む
使用する洗剤については、必ず使用上の注意や使用方法などの説明書きを読み、それに伴った使用をする。

2. 洗剤の使用濃度
洗剤には最適の使用濃度があり、"家庭用品品質表示法"およびその他の法規でこれを表示することが定められている。ほとんどの市販されている家庭用洗剤はそのまま使用できるが、業務用や原液を薄めて使用するタイプのものなどは、適切な希釈倍率で薄めることが大切となる。濃さを2倍にしたからといって、効き目が2倍になるとは限らない。

3. 洗浄時の温度
洗剤の主成分でもある界面活性剤の水に溶けるスピードは、温度の上昇とともに速くなる傾向がある。一般に温度が20℃(クラフト点*1)を超えると、界面活性剤がほとんど水に溶けるといわれている。一例として、温度が10℃上がれば汚れは2倍早く落ちると考えられているが、普通40度前後のぬるま湯を使用すると良い。
*1.クラフト点とは、界面活性剤がある温度以上にあるとき、急によく溶ける境目の温度のことを言う

4. 適切な用具を使う
汚れを早く落とすには、汚れのある場所や素材に合った用具を使い、洗剤の作用が早く汚れにいきわたるようにする。スポンジやブラシ、その場所や素材(建材)にあった用具を選び活用することで、"早く・簡単"に汚れを落とすことができる。

5. パッチテスト(patch test *2)
洗剤や用具を使用する前には、必ず目立たないところで試してから作業を進める。それは、洗剤の効き方や用具の使い心地、汚れの落ち方などを確かめるためである。さらに汚れの付いている建材が、作業によって傷んでないかなどもチェックする。
*2。パッチテスト(patch test):一般的にはパッチテストというと、アレルギー性疾患の原因物質を調べるための検査をいう。しかしこの場合、直訳で"(作業場所の)一区画でテストする"という意味で、掃除で言うパッチテストとは、作業を始める前に目立たない所でテストをするという意味がある。

6. 注意!洗剤の混用 ...まぜるな危険!
洗剤を使用するときは、むやみに他の洗剤と混ぜてはならない。例えば、酸性洗剤と塩素系漂白剤を混ぜると有毒ガス(塩素ガス:c l 2 ) が発生して人体にとても危険である。また酸性洗剤とアルカリ洗剤を混ぜると、それぞれの持つ特性が失われるので洗浄効果がなくなることもある。さらに、建材を傷める場合もあるので、むやみに洗剤を他の洗剤と混ぜるのはリスクが大きいということになる。

7. 洗剤使用後のすすぎ作業 ...最後が大切!
作業の最後は水洗いまたは水拭きを丁寧におこなう。洗剤を使用後、建材に洗剤成分が残っていると汚れが付きやすくなったり、カビや微生物の発生原因ともなり衛生的にも良くない。さらに、長時間洗剤が素材に付着していると、化学変化などにより素材を損傷する原因にもなるため、洗剤を使用したあとはすすぎ作業を忘れてはならない。
 

 「洗剤の力」活用例

   

次回は、用具の知識について紹介したいと思う。

連載目次