トップ>連載企画>第12回 掃除がラクになる法則 /第一編:掃除 第三章

連載企画:健康住宅・掃除がラクな家の構想案

掃除がラクになる法則 /第一編:掃除 第三章

 

このたび初めて紹介する、掃除がラクになる法則(うえきの法則)は、掃除の専門家であり筆者でもある植木照夫により考案されたものである。この法則を住宅に採り入れることで住まいの掃除が従来よりもラクになる他、様々な対象物で行う掃除をラクにするための指標的役割をもつものとなった。
掃除がラクになる法則は、様々な分野で応用できる。それは、建築物に限らず家具や電化製品やetcなど、人間が生産し継続的に使用していく物であれば、必ず掃除・メンテナンスが必要になってくるからである。掃除・メンテナンスのことも考えて作られた製品は、衛生的で長く使う事のできるエコプロダクツともなる。今回は、様々な物の集合体である「家」をテーマに、法則について簡単に紹介していく。

 
●3.1 住まいには、掃除のしやすい家と、しにくい家がある 
建築物の掃除には、室内外の床・壁・窓・天井などの各部位に使用される建材から、それらに付随する、照明や空調機器などの設備類のほか、家具に至るまで様々なものがある。それは、建物を利用する人の健康と建物全体の維持管理を考えると、掃除を行う範囲や対象物は必然と多くなるためである。
筆者も掃除業界に携わり15年以上になるが、ビル~住宅、新築~中古物件と様々な建物を掃除してきたなかで、住宅(建築物)には掃除のしやすい家と、しにくい家とがあることに気が付いた。「掃除のしやすい家」には、掃除のラクな物(建材)や場所(作業環境)など様々な共通要素がある。それらを組み合わせて家を建てれば、居住後の掃除はラクになることが予想できた。このような長年の作業経験に加えて、掃除の方程式を基に、掃除がラクになるための法則を考案した。

3.1-1 住まいの掃除をラクにするための法則の考案
いくら掃除の基礎知識を身につけて作業効率を向上させたとしても、やはり掃除は大変である。しかし、家を新築およびリフォームする際に、構想段階から汚れや掃除の予防対策ができれば、住まいの掃除はもっとラクになる。そのためにも掃除の専門家として、長年様々な現場で掃除作業をしてきた経験と、掃除の方程式を基に、汚れにくく掃除がラクになる法則を考案した。

方程式 → 法則
掃除の方程式を基に、住まいの掃除をラクにするための予防対策を考える。掃除の方程式で最初に行うのは、汚染の現状分析である。分析の結果に何も問題もなければ、掃除がラクまたは掃除をしなくてもよいということになる。

 

  
 

汚れの知識
居住後の住まいに付着した汚れを除去するための掃除。掃除対象となる汚れは、主に建築仕上げ材の表面に付着している。その付着原因を考えると、汚れが付着しにくい環境作りが大切なことに気付く。極論を言うと、汚れなければ掃除をする必要はないのである。しかし、現時点でそれは不可能といっても過言ではない。つまり、汚れにくい環境を作るということが、掃除をラクにするということになる。
★汚れの分析手順
①付着原因 ②種類 ③付着状態 ④経時変化

 
建材の知識
では、付着してしまった汚れについてはどのような対策があるのだろうか。先に述べたが、掃除対象となる汚れは、主に建築仕上げ材の表面に付着している。汚れが付着する場所となる建材(素材)自体に、汚れにくく掃除のしやすい物を活用することでも、掃除がラクになるといえる。つまり、掃除がラクな建材(素材)を使用するということである。

★建材の分析手順
①種類と使用部位 ②耐水・耐洗剤性 ③表面形状や硬度および吸水・吸湿性
*汚れが付着しにくいものは掃除がラクといえる。
*除去力(化学的な力・物理的な力)を活用しやすいものは掃除がラクといえる。
*掃除作業がラクなものは掃除がラクといえる。

ここで注目したのは建材の表面形状である。とくに、建材の表面が平滑・密であれば、汚れは付着しにくく、付着しても除去しやすいが、建材表面に凹凸や隙間が多ければ、汚れは付着しやすいし、付着した汚れを除去するにも困難を伴うことである。
これは建材だけでなく、モノの全体像や室内空間で考えたときにも当てはまる。つまり、凹凸の有無や数や形状によって、汚れ方や掃除性に大きな変化を及ぼすといえる。そして、全ての凹凸が汚れやすく掃除が大変というわけではないことにも気がついた。
これらを考慮すると、凹凸を無くす又は使用場所や形態を工夫することは、汚れにくい環境を作ることや掃除がラクな建材を考えるうえでも重要なことであり、掃除をラクにするためにも必要な要素といえる。

*建材を近づいてよく見たり、顕微鏡で見てみるとその表面は様々な形状をしており、単に表面の"粗さ"という観念だけではかたづけられず、"凹凸の頻度"とともに"凹凸の形状"も問題となる。なお、凹凸の程度が同じであっても、その突起やくぼみの形が鋭く、複雑な物ほど汚れがつきやすく、しかも付着した汚れは除去しにくい。これは、単に素材表面のことだけではなく、設計においても同じことが言えると考えている。
 

掃除方法の知識
多くの予防対策を行ったとしても、長年の生活に伴う経年の汚れは避けられないものである。汚れが付着してしまい掃除方法を考える際、汚れの現状分析で問題が生じたときでも、その後の掃除がラクな作業環境が確保されていれば、掃除がラクに行える。このことからも、掃除がラクな作業環境を確保することは掃除をラクにするために大切な要素といえる。

 
●3.2  掃除がラクになる法則(うえきの法則)
 

① 汚れにくい環境を作る
② 凹凸を無くす又は使用場所や形態を工夫する
③ 掃除がラクな建材(素材)を使用する
④ 掃除がラクな作業環境を確保する

各法則は、それぞれが互いに矛盾しないように、組み合わせて使用することで、大きな効果を生むものである

法則の内容は、いわれてみればあたりまえのことのようだが、以外にできていないものである。掃除がラクになる法則は、住まいを新築およびリフォームする際に、4つの項目を考慮する事で、居住後の掃除をラクにするためのものである。掃除に関する問題点を、常に4つの視点から対策を考えて、一つでも多く採り入れることによって、1つの対策が故障やアクシデントにより機能しなくなった場合でも、その他の対策でフォローするなど、様々な状況を想定して対応できるようにする事が、長期間に渡り掃除・メンテナンスをラクにすることとなる。

3.2-1 汚れにくい環境を作る
汚れにくい環境を作ることで掃除をラクにする。極論を言うと、汚れなければ掃除をすることもないのだが、現時点で汚れない環境を作ることはおそらく不可能である。したがって、掃除をラクにするための最も重要なことは、「汚れにくい環境を作る」こととなる。
汚れにくい環境を作るためには、最初に汚れについて考えなければならない。それは、掃除の対象となる汚れを特定し、その発生原因や性質などの分析結果をもとに、汚れにくい環境を作るための予防対策を考えるからである。

汚れにくい環境を作る手順
・汚れを特定する → ・発生原因や性質などを分析する → ・汚れの予防対策を行う

  
 

例えば、住まいの掃除対象となる汚れの分析結果を考慮して、汚れの発生量を減らすための対策や、掃除を行う素材(建築仕上げ材など)に汚れが付着しにくいまたは付着させないための対策を考える。室内環境で考えた場合、外部から室内へ汚れが侵入するのを防ぐなどの対策をすることで、汚れの発生量を減らすことができる。さらに、汚れが室内に侵入または室内で発生した場合でも、汚れを速やかに除去するための対策をしておくことで、建材や素材に汚れが付着するのを軽減してくれる。その他、生物的な汚れである場合には発生および発育させないための対策なども重要なこととなる。このように、掃除の対象となる汚れの発生原因や性質を知り、それらを考慮した様々な対策を組み合わせることで汚れにくい環境を作ることができる。また、室内の凹凸を無くしたり、掃除がラクな建材を使用したり、掃除がラクな作業環境を確保することで、掃除およびメンテナンスをラクにするなど、他の法則を採り入れて、汚れにくい環境を作ることも大切である。

3.2-2 凹凸を無くす又は使用場所や形態を工夫する
基本的に建物の形や建築材料の表面形状など、凹凸が無いほうが汚れにくく掃除がラクである。その反対に、凹凸の頻度や周期が多いほど汚れの付着面も多くなるので、掃除の作業量が増えるほか、凹凸の形状が複雑なほど汚れの除去は困難なものとなる。しかし、凹凸による素材の質感やデザイン的な長所などは捨てがたいものである。そこで、汚れの性質や掃除のことを考慮すると、汚れにくい凹凸があることが解った。凹凸にも汚れにくいものや掃除がラクなもの、掃除がラクな作業環境を確保するための凹凸など、使用場所や用途に応じて色々な凹凸があり、それらをうまく使うことで掃除をラクにする。また、凹凸は汚れやすいということを認識していれば、凹凸を多く使用する個所には他の法則を採り入れることで掃除をラクにすることもできる。

   

3.2-3 掃除がラクな建材(素材)を使用する
住まいの汚れは建材(素材)に付着するものであり、その建材には掃除がラクなものから大変なものまである。外装や内装材を選ぶ時、デザインや機能性で選ぶのも良いが、居住後の掃除も考えて選ぶ事が大切である。使用する建材の性質や、形状および使用場所などにより掃除作業に大きな影響を与える。物理的な性質で考えると、建材の表面が平滑・密であれば、汚れは付着しにくく、付着しても除去しやすいが、建材表面に凹凸や隙間が多ければ、汚れは付着しやすいし、付着した汚れを除去するにも困難を伴う。化学的な性質で考えると、耐水性や耐洗剤性などに優れた建材は掃除がラクといえるが、その反対に、水や洗剤に弱い性質や吸水性がある建材は掃除が大変といえる。
また、キッチンやお風呂場やトイレなどといった住宅設備も、各種建材の集合体として捉え、掃除がラクなものを使用する。あらかじめ掃除の事も考えられて作られた建材を使用することは、掃除をラクにする有効な手段でもある。このように、建材には掃除のしやすいものがあり、それらを使用することで掃除をラクにする。
 

   

3.2-4 掃除がラクな作業環境を確保する(設計、建材など)
掃除のしやすい作業環境を確保することで、作業時間と作業量の短縮を可能にする。設計の段階から入居後の掃除をイメージし、ラクな掃除方法を考えその対策をする。この時、居住者による日常的な掃除方法とその作業環境に加え、専門業者による掃除(メンテナンス)の作業環境も併せて対策する事で、長期的な維持管理をラクに行える。例えば、掃除用具などの置き場、掃除に必要な設備(電源や水栓などの場所)、メンテナンス用の点検口設置(床下や壁や天井など)、etcまで、居住後の掃除およびメンテナンスのラクな環境を整えるための対策を行う。

   

 

 

これらのことからも、「掃除がラクになる法則」は新築およびリフォームの際に、1つでも多く採り入れることで、住まいの掃除が今までよりもラクになるのであるといえる。

   

 

では、実際に法則をどのように住まいに採り入れていくのか?健康住宅「掃除がラクな家」とはどのように作るのか?など、その一例をつぎの第二編で具体的に説明していく。

 

第一編 ・・・ 完

連載目次