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連載企画:健康住宅・掃除がラクな家の構想案

室内を対象とした汚れの予防対策 .1 ほこりなど空気の汚れ対策 -- その3 /第二編 1-3 

 
● 1-3 室内を対象とした汚れの予防対策(発生防止や発生量を減らす)

1-3.1 ほこりなど空気の汚れ対策(ハウスダスト、ウイルス、花粉、煙などを含む)

 
【3】 室内のほこり(浮遊塵)を速やかに室外へ除去する対策
室内のほこり(浮遊塵)を速やかに室外へ除去する対策として"室内換気"がある。そして室内換気は、現代の住まいにおいて掃除だけでなく居住者の健康を考えても重要な対策の一つとなる。「掃除がラクな家」においても"室内換気"を重要項目として考えていく。
(1) 換気と健康 (2) 湿度と健康 (3) 人と家の健康を守る換気システムに必要な性能 (4)「掃除がラクな家」が提案する換気システム

   

(1)換気と健康
現代の住まいは、断熱材や高性能ガラスサッシなどによる高断熱・高気密な住宅が主流のようであるが、気密化された室内の空気は何もしないとそのまま停滞することになり、健康や衛生面でも大変好ましくない環境となる。換気は、人が呼吸するための新鮮な空気を外から室内に取り込み、室内の汚れた空気を外に排気する。排気には浮遊塵など汚れの他に、臭いや湿気なども一緒に外へ排出することができ、さらに室内の温度を調節することもできる。(夏の暑い夜に、換気扇で室内の熱気を外に追い出し、涼しい外気を取り込むことで室温調整するなど。)

1)空気の質
多くの人が飲料水など水の質にこだわる現代、呼吸するための室内空気の質にこだわる!
飲料水や添加物などには気を使う人が増えてきたが、空気に気を使う人は少ないようである。最近、アレルギーやシックハウス問題が多発しており、室内における 空気の安全にも注意しなくてはいけない時代となってきた。実は空気汚染が人体へ与えるダメージは深刻で、空気に混じった汚染物質や有害物質によっては、肺から直接血管に入り込み、そのまま体中に送り込まれていくこととなる。では、健康的で上質な空気とはどんなものかを考えてみる。オフィスビルなどの事務室では、室内の空気環境についてつぎのような衛生基準が設けられている。

   

その他、気積(室内空気容積、床上4m以上の高さを除く、労働者1人当たり)や照明の項目がある
事務室衛生基準の空気に関する数値ではなく、衛生基準の項目を住まいに置き換えて対策してみると次のようになる。「掃除がラクな家」では、これらの対策をなるべく自動でラクにするために、換気設備や空調機器など機械を主に考えてみる。

 

   

住まいの健康的な室内空気環境対策の中の、重要となる項目として「湿度」に注目する。

 

 

(2)湿度と健康
ビル管理教育センター/建築物の環境衛生管理 上巻 室内環境の衛生 より
1) 湿度の影響
室内環境において湿度の問題は、直接人間に影響を与える場合と間接的な影響がある。前者は、乾燥やじめじめする蒸し暑さなど、湿度の状態そのものによるものであり、後者は環境の湿度の状態によって、結露が生じたり静電気が生じるなど、そのことで人間に影響がある場合である。湿度が高過ぎたり低過ぎたりして起こる害を表にあらわすとつぎのとおりになる。

   
建築物衛生法では(多数の人が利用する特定及び特殊建築物が対象)、建築物内の湿度を40%以上保つことを定めている。これが保たれないような低湿度になってしまう場合、例えば冬季には鼻やのどの粘膜が乾燥し、ウイルスに感染しやすくなる。さらにインフルエンザウイルスの生存率が高まったり、ウイルスが空中を舞いやすくなるなど、風邪やその他の呼吸器疾患になりやすくなる。また、乾燥で過大な蒸発は、体感温度の低下をもたらす。

2) 高湿度(夏季など)
湿度が高い場合には、蒸し暑い不快さを感じ、汗の蒸発を妨げる働きをし、汗ばみ、汗により衣類や建材などを汚す。間接的な影響では高湿度の場合、建築物に結露が生じ、建築物の腐朽(フキュウ)やカビ・ダニが発生する。これによってアレルギー疾患の発症への影響もある。

3)低湿度(冬季など)
低湿度の場合は、静電気の発生による電気ショック、衣類のまとわりつき、ホコリの発生、建築物自体には建材の狂いや隙間の発生、乾燥による火災の危険などもある。その他、ウイルスに感染しやすくなる。とくに、東京など大都市は他の場所に比べ湿度の低下がみられる。大都市は、コンクリートやアスファルトに覆われているため、雨が降っても土中に蓄えることが少ないのが原因の一つと考えられている。太平洋側の冬は乾燥しており、室内で暖房器具などを使用した場合、部屋の湿度は20%以下になる事もある。

4) 調湿対策
湿度による害を防ぐには、低湿度の場合には加湿を行い、高湿度の場合には水蒸気の発生を抑え、結露防止の対策や除湿を行うことが必要である。しかし、加湿を行う場合、噴霧式の加湿器では、水に混入した不純物が空気中にエアロゾルとなって放出されるので、その水質は少なくとも水道法の水質基準に適合した物でなくてはならない。水中に存在した真菌などが原因で、アレルギー性の障害を起こした例も報告されている。その他、ビルなどでは空調設備内の冷却水で増殖した、レジオネラ属菌によるレジオネラ肺炎の集団発生の事例や、加湿装置、冷却塔などの空気調和設備の構成機器が、種々の病原体の汚染源となり得る事が国内外を問わず報告されているので注意が必要である。実際に、室内の湿度を年間通じてどのくらいに設定するのかというと、事務室衛生基準の湿度に関する数値は40~70%となっているが、結露やカビやダニなどの発生を考えると、室内湿度の上限を50%程度に設定する事が望ましい。つまり、1年を通じて室内の湿度を40~50%に保つことは、人と家の健康を守るうえでも重要だと考えられる。

 

・・・ 次回は、 「ほこりなど空気の汚れ対策 -- その4(今回の続き)について紹介する。

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