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連載企画:健康住宅・掃除がラクな家の構想案

掃除について考える・住宅建築と掃除の関係 /第1編 第1章 その1〜2

■ 1.1 掃除について考える
十数年以上さまざまな現場で掃除作業をしてきたが、その奥の深さとともに矛盾も感じる。
毎年新しい建築技術や素材などが開発されて、それに伴い付着する汚れやその除去方法にも変化が生じるため、掃除についての技術や知識も進歩していかなければならない。
その半面、現場で掃除方法を試行錯誤している時など、「この部分は汚れやすくて掃除が大変だから、建てる時にこうすればもっと掃除がラクになるのに・・・」と度々思う。それは、様々な現場で色々なものを掃除してきた中には、"掃除がラクなものと大変なものがある"ということを感じていたからである。やがて、その思いは作業現場にとどまらず、街を歩いていてもそこに立つ建物の外観を見て「外装のあの部分はどうやって掃除をするのだろう?」とか、建物に入ると室内環境や家具や置いてある商品に至るまで「この部分をこうすれば掃除がラクになるのに・・・」など、つい掃除について考えてしまうことが多くなった。そしていつも同じ結論に達するのだが、ものづくりの際に、掃除のことも考えて作れば、もっと掃除がラクになるということである。



今回の連載企画は、私自身が家を新築しようと思い「どんな家を建てようか?」と考えたとき、掃除の専門家として以前から思い描いていた「汚れにくく、掃除がラクな家を建てたい」と思ったのが始まりである。
自宅を新築するにあたり建物と掃除について研究を始め、国家資格で得た知識と長年の作業経験から掃除の基礎知識をまとめ、それを基に「掃除の方程式」や「掃除がラクになる法則」を考案し、それらを活用して「健康住宅・掃除がラクな家」の構想案を制作した(2005年製作開始~初期構想案完成2007年5月:原稿100枚以上)。これらの方程式や法則は、掃除現場の声でもあり、建物の掃除をラクにするための重要な役割を果す“新しい建築技術”の1つであると考えている。

構想案では、現行の建築技術や発売されている建材を使用することを前提に、掃除がラクな家のつくり方も提案している。汚れが付着して掃除作業の対象となる建材についても、掃除現場の経験だけでなく実際に各ショールームに行き、新商品の使い心地や清掃性などを検証してきた。
例えば、ハウスクリーニングで作業依頼の多い水廻りなどは、TOTO・INAX・サンウエーブ・クリナップ・YAMAHA・ナショナル(現Panasonic)の各社ショールームへ実際に行き、掃除のしやすさやレンジフードを分解してみるなど、日常的な居住者の掃除から、プロとしての立場の両方から調査を行なった。
ショールームの従業員は、お客が一人でいきなり商品を分解している姿を見て、驚き声をかけてくる人や、怪しい人を見るように距離をおいて私を監視している人などもいた。
また、窓サッシについてはYKK AP・新日軽・トステムのショールームで商品を使用してみたなかでの、清掃性について検証してきた。その他、サンゲツのショールームや販売店舗や建材各社のカタログやホームページなど、色々調査を行ってきた(調査期間は主に2006.12月~2008.3月ごろまでで、各建材の調べた時期などには誤差がある)。
共通して言えることは、建材の技術進歩は速く各社新商品を次々と発表しており、商品特徴や使用感を考えて掃除がラクそうな建材を選ぶことは出来るが、新商品ほど経年の汚れに対する調査は出来ず、居住者からの掃除依頼もないため、確実なことは言えない一面もあった。

また、構想案をさらに研究していくと、現行の技術や建材では対応しきれない掃除問題点に直面し、その解決案として「掃除をラクにするためにこんな技術や建材や住宅設備などあれば・・・」という思いを、様々なアイデアや新商品として提案している【新・掃除がラクな家の構想案】(2008年6月:原稿100枚以上)もできているのだが、こちらは仮設予想や個人的な見解が強く出ているため情報公開については検討中である。

ちなみに、研究および企画の製作はClean Producer 植木照夫が1人で行っており、全てを1人で行ってきたため構想から4年の月日が過ぎたが、自宅はまだ着工すらしていない状況である。家族のためと思い全力で頑張ってきたのだが、あまりに長いとクレームが出ている。
*「掃除の方程式」や「掃除の基礎知識」については後の第2章で紹介する。
*「掃除がラクになる法則」については後の第3章にて紹介する。
*「掃除がラクな家のつくり方」については第2編~ 紹介する。


■ 1.1-1掃除をラクにすることは、市場ニーズに応えた、新しい建築技術の一つ

「健康住宅・掃除がラクな家」の構想案では、住まいの特定した汚れに対し掃除がラクになる法則を活用して、設計や使用する建材などを組み合わせて総合的な予防対策を行っていく(細かく分けていくとかなりの数になる)。
これらは住まいの掃除をラクにするためのノウハウでもあり、住宅商品として考えた場合「掃除がラク」をパッケージ化しやすいものとなった。
しかし、どんなに優れた技術であっても市場が求めてなければビジネスとしては成立しないものである。
そこで、掃除をラクにすることのニーズの強さや、市場の広さについて簡単に紹介する。

【1】掃除をラクにすることを市場は求めている!

掃除業者の多岐にわたるサービスは依頼者からのニーズにより構成されており、メニューの数だけ掃除に対する問題があるということになる。また、掃除をラクにするという市場ニーズの範囲は広く、誰でも一度は「誰か代わりに掃除をしてくれないかなー」と思う事があると思う。
その他、日本国民の約30%が何らかのアレルギー疾患に悩まされていると言われており、国民病とも言われている。そのうち、住まい(室内)に起因するものとして吸入性アレルギー問題などがあり、掃除により改善できることがある。
さらに、少子化が進む現代、子供の数より登録されているペットの数が多いと言われる中、ほとんどの場合ペットを室内で飼育しており、家族として扱われている。そして多くの飼い主は掃除問題で悩まされている。
事実、建物に染付く臭いや汚れや建材の損傷などは、建物の健康性と資産価値を低下させる大きな問題となることもある。
*特に賃貸物件など臭い問題については、その後の入居率に大きく影響することもある。当社(ベスト)においても消臭作業の依頼もあり、ほとんどの場合下地や躯体まで臭いが染み付いており、リフォームを含む消臭作業で通常の掃除に比べ時間と費用が多く必要とされる。しかし、依頼者の多くは消臭剤で簡単に臭いが消えると思っている。

 これらのことからも、生活の中でとても身近な行為となる「掃除」をラクにすることは、キレイ好きだけどラクしたい現代人のニーズといえる。
なによりも、「貴方なら掃除が楽な家と大変な家、どちらを選びますか?」・・・。
そして、居住者の“掃除をラクしたい”ニーズは色々な資料からも確認できるので、一部紹介しようと思う。

当HPのトップページ(下部)でも紹介しているが、「ハウスクリーニング」という検索キーワードについて2004年10月~2007年の1月までのデータをグラフにしてみると、2年間で約4倍も増えていることがわかる。この他、トイレ掃除、風呂掃除などのキーワードも約3倍に増えているなど、掃除に関する市場の意識が高まってきていることがわかる。
この他、企業や調査機関などが発表しているアンケート資料などにも、居住者の掃除をラクしたいというニーズがうかがえる。

★マーケティング資料 1. ・・・TOTO㈱・2007年プレスリリースより→詳細
図2のグラフは.TOTOが2007年に発表したアンケート調査の「住宅設備と生活意識に関する実態調査」である。
注目すべき点は、「家事の中で負荷が大きいと感じるもの」の質問に1番多かった答えは【居室の掃除】とあり、3番目に風呂掃除、6番目にトイレ掃除など、掃除に関する答えが上位を占めており、住まい全体としての掃除問題の改善が居住者のニーズとなっていることがわかる。そして家事の中でも水廻りに関する問題も上位を占めていることから、新築やリフォームの際には大切なポイントとなる。

 

★マーケティング資料2・・・2008/2/14 マイボイスコム株式会社→詳細
マイボイスコムが行った『住宅メーカーのイメージ』に関する調査において、住宅メーカーに期待すること〔今後、あなたは住宅メーカーに対してどのようなことを期待しますか?[複数回答]2008年1月1日~5日に12,695件〕の回答を集めた資料に注目した。
【調査結果】◆まとめ

   

 注目すべきは「住宅設備の点検・清掃・補修などが容易」が44 %で5位に入っていることである。他の上位項目「耐震性の高い設計である」、「安定性の高い設計である」、「耐久性が高い」、「耐火性能が高い」、「設計から家造りまで安心して任せられる」などは、ハウスメーカーや設計事務所や工務店など業界各社が力を注いでいるため、市場における競争が激しい。各社差別化を図ろうとする行動が商品の多様化を生み消費者を困惑させる原因ともなる。
このことからも、「住宅設備の点検・清掃・補修などが容易」が44 %で5位に入っているという市場ニーズをいち早く取り入れることは、他社との差別化と市場優位性を向上させることに繋がるものと予想される。 また建物の掃除をラクにすることは、3位の「耐久性が高い」56.3%というニーズを強力にサポートすることにもなる。
ここで疑問に思うのは、「住宅設備の点検・清掃・補修などが容易」が44 %という高い数字で入っている市場ニーズに対して、本格的な指針や住宅販売が行われていないように思える。それは、現在までにそのような専門家がいない又は認知されておらず、活躍の場がないことも原因の一つではないだろうか。
このように、掃除問題の改善は市場のニーズであるということが分かる。



■  1.2 住宅建築と掃除の関係
掃除も健康もエコロジーも持続していくことが大切であるが、続けていくということはとても大変なことであり、10年20年と日常的に行うことだからこそ、ラクに行えることが求められる。そして、それらは可能なことであり、住まいの掃除は今までよりもっとラクにすることができるのである。そのためにも、住宅と掃除の関係についてまずは考えてみる。
家を建てるには建築家や建築業者などにより建てられるものだが、その家に対する掃除については、完成した後に対処するというのが現状のようである。
しかし、実際に生活をしてみると、汚れやすい場所や掃除が大変なものなど、様々な掃除に対する問題点が見えてくる。そして、住まいの掃除は日常的に行う事であり、それは居住者への大きな負担ともなってくる。「自分に代わって誰か掃除をしてくれないかな~・・・」と誰しも一度は思うことだろう。現実に、掃除業界でも"ハウスクリーニング"という分野がここ数年すごい勢いで伸びてきている。この結果の背景には、多くの人が住まいの掃除に対して、何らかの問題を抱えているということがある。
このことからも、住まいの掃除をラクにするためには、現在までの住宅と掃除についての関係を見直すことから始め、提案する新しい住宅と掃除の関係は、新築およびリフォームの際に構想段階から掃除についても考えて設計することを前提としている。

● 現在までの住宅と掃除の関係は、家が完成した後に、汚れや状況に応じて掃除方法を考えることが主流である
 

● 提案する新しい住宅と掃除の関係は、はじめから汚れや掃除のことも考えられて建てられた家は、汚れにくく掃除がしやすい家となる

   

現在、建物を建てた後に掃除を考える時代から、掃除も考えられた建物をつくる時代に来ているものと考えている。
健康住宅「掃除がラクな家」は、新築およびリフォームの構想段階から掃除対策を考えていくのだが、具体的にどのようなことを行えば掃除がラクになるのかを考える前に、掃除についての基礎的な知識を理解していることが求められる。
そこで、住まいの掃除についての知識を簡単にまとめた「掃除の方程式と基礎知識」を次回からの第二章で紹介する。

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