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連載企画:健康住宅・掃除がラクな家の構想案

何所に?どんな素材?「建材の知識」 /第1編 第3章 現状分析 その1






■ 2.3 何所に?「建材の知識」・どんな汚れ?「汚れの知識」

掃除をするためには、「何所に?どんな汚れ?」が付着しているか分析 → 分析結果を基に掃除方法の決定する必要がある。
掃除の対象となる場所と汚れについて分析する。住まいの汚れは建築材料(建材)に付着しているため、何所に(建材の知識)汚れが付着しているか、どんな汚れ(汚れの知識)が付着しているかを識別する。そして、分析結果をもとに掃除方法を決定していくことになる。

 


● 2.3-1 建材の知識(何所に?)



住まいの汚れは、床や壁や家具などの建材に付着している。汚れの除去を行うには、汚れが付着している素材の種類や化学的性質および物理的性質など、掃除に必要な建材の知識が求められる。基本事項としては、「建材の種類と使用部位」、「耐水性・耐洗剤性」、「表面形状や硬度」、「吸水性・吸湿性」などについて調べる。
★何所に? 建材の分析手順
(1)「建材の種類と使用部位」を調べる → (2)「耐水性・耐洗剤性」など化学的性質を調べる → (3)「表面形状や硬度」、「吸水性・吸湿性」など物理的性質を調べる

 
(1)「建材の種類と使用部位」を調べる
近年、建材の種類も多様化・複雑化しており、一見しただけでは判断を誤る建材も少なくない。したがって、材質を知る前提として、建材の種類と使用されている部位について確認しておくことが求められる。

   

使用部位の確認については、同じ建材に同じ汚れが付着しても、床や壁や天井など建材の使用されている場所によって、洗剤や用具や作業方法などが異なる。したがって、建材の部位についても確認する必要がある。
★例えば・・・建材の種類によっては、使用できない洗剤や用具などがあるため、汚れが付着している建材の種類を確認することは重要なこととなる。その他、汚れ除去に、床面で液体の洗剤を使用する場合はとくに問題なくても、壁面や天井で使う場合、洗剤が下へたれてしまうため泡状の洗剤を使用したり、他の部分が汚れないように養生をするなど、各建材の使用部位によって作業方法に変化が生じる。さらに、壁面上部や天井などは高所の作業となるため、高所作業のための用具の準備や安全について配慮するなど、除去作業を行う際に、汚れがどこに付着しているのか建材の使用部位についても確認する事は大切である。

(2)「耐水性・耐洗剤性」を調べる・・・化学的性質
汚れが付着している材質を知るうえでも重要なポイントは、建材の耐水性・耐洗剤性といった化学的性質である。汚れ除去を行う際に、水や洗剤の使用は不可欠であり、もっとも身近で知っておくべき知識といえる。基本的に水になじむ(親水性)建材なのか、それとも水をはじく(親油性)建材なのかは確認する必要がある。その他の化学的性質として、静電気を帯びやすい建材なのかなども、掃除をするうえで知っておきたい性質である。この化学的性質が明確になると次のような事が解る。

 

建材の中には使用してはいけない洗剤もあり、建材と洗剤の相性など耐洗剤性を知らないと、建材を溶かしたり変色するなどの損傷を招いたりもするので、建材の耐洗剤性について調べる事も重要である。
★例えば・・・コンクリートやモルタルなどに強酸性の洗剤を使用すると、液が付着した部分の素材は化学反応により溶けてしまう。また、プラスチック系の建材に、シンナーなどの溶剤を使用すると、溶剤が付着した部分の素材は、時間の経過と共に化学反応により表面が溶けてしまうことがある。

(3)「表面形状や硬度」、「吸水性・吸湿性」・・・物理的性質
汚れを除去するうえで、建材の物理的性質は作業方法に影響を及ぼし、同じ洗剤を用いても建材を傷めたり、汚れを拡散したりする事になる。建材表面に凹凸が多いものは作業しにくく、柔らかく弱い建材は傷がつきやすい。また、吸水性のある建材に水分を含んだ汚れが、内部に浸透して除去が困難になるなど、建材の物理的性質によって掃除の方法は大きく変わる。

1) 表面形状や硬度を調べる
建材の表面が平滑・密であれば、汚れは付着しにくく、付着しても除去しやすいが、建材表面に凹凸や隙間が多ければ、汚れは付着しやすいし、付着した汚れを除去するにも困難を伴う。

 

建材を近づいてよく見たり、顕微鏡で見てみるとその表面は様々な形状をしており、単に表面の"粗さ"という観念だけではかたづけられず、"凹凸の頻度"とともに"凹凸の形状"も問題となる。なお、凹凸の程度が同じであっても、その突起やくぼみの形が鋭く、複雑な物ほど汚れがつきやすく、しかも付着した汚れは除去しにくい。


基本的な建材表面の"粗さ"を分類したものを次に記す。
 

さらに、表面の形状だけでなく、建材の硬度について調べる事も掃除方法を決定するうえで重要な事である。建材自体が軟らかいのと、硬いのとでは作業方法にも違いが出てくる。

2) 吸水性・吸湿性を調べる・・・物理的性質
建材に吸水性や吸湿性があると、水分と一緒に汚れが内部に浸透しやすく、除去が困難なものとなる。そのため、水や洗剤などの使用には十分な注意が必要とされる。また、建材が多孔質のものや海綿状のものは、素材そのものとしては吸水性でなくとも、毛管現象*1により水に溶けた汚れを吸い込みやすい*2。
*1 毛管現象とは、細い管状物体の内側の液体が管の中を上昇(場合によっては下降)する現象である。
*2 多孔質のものや海綿状の建材は、毛管作用によって水分を捕らえることの出来る隙間(孔隙:こうげき)をもっており、毛管孔隙の多少によって、水分を捕まえる能力の大小がわかる。調湿効果のある建材などは、このような性質を利用して湿度をコントロールしているものが主流となる。


★ 壁面に使用される建材の一種の珪藻土などは、表面を顕微鏡で見てみると目には見えないほどの小さな凹凸が多くある、多孔質であるため吸湿性がある。調湿効果のある建材には、多孔質や海綿状など、建材表面に小さな凹凸が多くあるものが主流となる。

次回は、何所に?「建材の知識」・どんな汚れ?「汚れの知識」  --その2 として、「汚れの知識」 を紹介する。

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