凹凸を無くす又は使用場所や形態を工夫する /第二編 第二章
凹凸を無くす又は使用場所や形態を工夫する
本章の「凹凸を無くす又は使用場所や形態を工夫する」は、掃除がラクになる4つの法則の一つだが、その応用性は高く、他の法則をアシストする意味でも重要であると考えている。そのため、第一章の「汚れにくい環境をつくる」でもすでに紹介してきた。今後も各章の要所で紹介していくため、本章では基本的なことを簡略的に紹介するにとどめる。
2-1 室内の掃除と凹凸
凹凸と掃除の関係は意外にも深く、家の設計での凹凸や、建材表面の凹凸(目で確認できるものから顕微鏡で見たものまで)など、その形体や凹凸の頻度により汚れ具合や掃除のしやすさなどに大きく変化が生じる。凹凸があると、無いものに比べて表面積が増えるので、汚れが付着する場所も多くなり、掃除の作業量も増加することになる。凹凸の頻度に加え形状においても、凹凸の突起やくぼみの形が鋭く、複雑な物ほど汚れがつきやすく、しかも付着した汚れは除去しにくい。しかし、凹凸が全部掃除は大変というわけでもない。事実、設計上の室内空間や建材表面においても、掃除をラクにするための凹凸も存在する。これらのことからも汚れ予防として、住まいの凹凸を無くす又は使用場所や形態を工夫するということは、汚れにくく掃除がラクになるといえる。
① 凹凸の基本分類図
掃除がラク ←-----------------------------------------------------------→ 掃除が大変
2-2 設計と凹凸
新築やリフォームの際に、設計の段階から室内全体としての凹凸について考えてみる。住まいの設計を考えるとき、安全性はもちろんのことデザイン性や生活に伴う快適性を採り入れることで、室内の凹凸は増えていく傾向がある。とくに居住後の室内には、各居住者のライフスタイルにより家具や家電などの"もの"が増えていくため、凹凸が多くなる要因が増えることにもなる。これらを解決するには、収納スペースの確保やデザイン性や快適性を持ちつつ、凹凸が無い又は使用場所や形態を工夫して汚れにくい凹凸を積極的に採り入れていくなどの対策をする。
例) ほこりなどの汚れが付着しにくい室内の凹凸
2.3 建材と凹凸
建材を近づいてよく見たり、顕微鏡で見てみるとその表面は様々な形状をしており、単に表面の"粗さ"という観念だけではかたづけられず、"凹凸の頻度"とともに"凹凸の形状"も問題となる。表面が平滑・密であれば、汚れは付着しにくく、付着しても除去しやすいが、建材表面に凹凸や隙間が多ければ、汚れは付着しやすく、付着した汚れを除去するにも困難を伴う。これらの性質を理解したうえで、掃除をラクにするために建材表面の凹凸を無くす、又は使用場所や形態を工夫する対策を行う。
基本的な建材表面の"粗さ"を分類したものを次に記す。
現場資料:住まいの凹凸と汚れ
*室内の汚れやすい凹凸の一つにカーテンレールがある。居住者からは汚れがあまり目立たない場所であるが、必ずと言ってよいほど汚れが付着する場所でもある。これも設計の際のちょっとした工夫で汚れを防ぐことができる。
*家具などを単体でみると、ラックのように開放的な作りのものよりは、戸や引き出しなどが付いているタイプの方が凹凸も少なく汚れが付着しにくいものとなり、掃除もラクといえる。