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室内を対象とした汚れの予防対策 .1 ほこりなど空気の汚れ対策 – その1 /第二編 1-3 

 
● 1-3 室内を対象とした汚れの予防対策(発生防止や発生量を減らす)

1-3.1 ほこりなど空気の汚れ対策(ハウスダスト、ウイルス、花粉、煙などを含む)

 現代の密閉化された室内環境における、「ほこりなど空気の汚れ」の予防対策はとても重要な事となる。とくに、空気汚染が深刻な問題となっている都市型住宅など、衛生的な室内空気環境についての対策を行うことは、居住者の健康において無視できない存在となっている。さらに、”ほこり”は住まいの汚れの中でも大きな割合を占めており、ほこりを除去すれば日常的な掃除の半分終わったといっても良いほどであるため、住まいの掃除をラクにするためにも大切な対策となる。

ほこりなど空気の汚れの対策ポイント ・・・ 汚れにくい環境を作る
◎ 室内への侵入を防ぐ
◎ 室内の汚れにくい設計と建材選び
◎ 室内のほこり(浮遊塵)を速やかに室外へ除去する
 
汚れにくい環境を考えるときに、他の法則を採り入れることでも汚れにくい環境を作ることができる。各法則はそれぞれが深い関係で結ばれており、互いに組み合わせて使用することで、大きな効果を生むのである。

 

【1】室内への侵入を防ぐ対策(窓や玄関などの開口部の対策)
外気と一緒に外から室内へ侵入してくる、ほこりなど空気の汚れを防ぐ対策をしていく。そのために、ほこりなど空気の汚れは何所から室内へ侵入してくるのか、外部からの侵入経路について考える。ほこりなど空気の汚れは、「気流に運ばれて窓や玄関などの開口部から入る・人や物に付着して入る・泥として靴などに付着して入り乾燥破砕などの経路で室内に侵入してくる」などが考えられる。これらの侵入経路のうち1番重要な対策として、外部との境にある窓や玄関などの開口部についての対策を主に行っていく。

窓や玄関などの開口部の対策 ~ 外からの汚れの侵入を防ぐ ~
(1)窓などの開口部に多機能ルーバー (2)窓などの開口部に網戸を取り付ける    (3)玄関マットなどによる対策

(1)窓などの開口部に多目的ルーバー
室内の掃除という観点から考えると、窓などの開口部に多機能ルーバー(外付け)を取り付けることで、雨や風や雪などを遮断し、室内にほこりなどの汚れが侵入するのを減少させる効果が期待できる。風の強い日でもルーバーの角度を調節すると、窓を開けて換気することができ、通風の調節も行える。その他に、『 目隠し 』、『 採光 』、『 日除け(遮熱)』、『 防犯 』などの効果があり、室内に取り付けるブラインドよりも、室外に付いているので汚れが目立ちにくく掃除がラクでエコ(省エネ)といえる。これらのことからも、開口部の外側で行う多機能ルーバーは、室内の掃除をラクにする建材と考えている。

ただし、ルーバーをつけることで窓の外面掃除がしにくい環境となったり、設置場所によってはルーバー自体の掃除が困難になるなどのデメリットもある。その他、組み合わせることが出来ない窓のタイプもあると思われるので、ルーバーを取り入れる際には注意が必要となる。(※1:ルーバーとは細長い扁平部材を水平または垂直に組んで開口部の前面に取り付けたもの。採光調整や、目隠し、通風・換気の制御に使われる) 
*下記の画像はYKKAPのHPより

 

   

室内ブラインドやカーテンに比べ省エネ効果は2倍以上 [陽射し遮蔽効果の比較]   

※日本外付ブラインドシャッター協議会資料より

   

 2)ルーバー操作で快適な居住性が実現
私の注目している掃除がラクな多目的ルーバーは、電動シャッターにブラインド(ルーバー)機能が付いているものである。
電動で操作がラクであり、窓の外側掃除もルーバーを収納すれば通常に行えるのが良い。
ルーバー機能を搭載した「電動ブラインドシャッター」など便利 ・・ 例)画・YKK AP

   

外付けルーバー & ブラインド入り複層ガラスサッシなど

   
ブラインド入り複層ガラスサッシは、ブラインドが複層ガラスの間にあるため掃除不要といわれており、掃除がラクと予想される。ただし、経年による故障やアクシデントにより、複層ガラス内部に汚れやカビが発生した場合、日常的な掃除では対処できないものと思われる。

 

(2)窓などの開口部に網戸を取り付ける
設計の際、通風を考えた開口部の設置により、汚れを室内から速やかに除去できる。そして、開口部に網戸を取り付けることで、窓を開放した際に入り込む外気は網戸を通過して室内に入るためフィルターの役割を果たし、汚れや害虫などの侵入を防ぐ効果がある。網戸はロール式のものを使用すると、オフシーズンはネットを収納でき、ネットの汚れを防ぐ事が出来るので汚れにくいし掃除がラクになる。(花粉・ほこり対策用網戸などもある)

   

 

(3)玄関マットなどによる対策
玄関は外部と室内との境の役目を果たす場所であり、住まいの中でもよく使用する大開口部となる。
そして、ほこり汚れ等の室内侵入経路の一つであるため、予防対策を行うことで日常の掃除をラクにできる。代表的な対策として、玄関にマット類を設置する方法がある。玄関扉の外側にマット類を設置することで、靴の裏に付着した汚れなどを吸着または除去し、汚れの室内侵入を効果的に減少させる。この方法は、店舗やビルやマンションのエントランスなど多くの建物で使用されている実績を持つ。

★玄関マットいろいろ

   

 

・・・ 次回は、 「ほこりなど空気の汚れ対策 – その2(【2】室内の汚れにくい設計と建材選びによる対策)」 について紹介する。

汚れの分析と対策ポイント – その3 /第二編 1-2 

 

 ・・・ 前回の続き ・・・(1-2.2 微生物や衛生害虫の発生による汚れ

(2) ゴキブリ
ゴキブリは、3億年ほど前に登場して以来ほとんど姿を変えずに現在まで生き残って来た。適応能力の高いゴキブリは、私たち人間の生活空間にまで現れるようになり、見た目のグロテスクさもさることながら、有害の度合いから言ってもかなり要注意な害虫となる。様々な種類の細菌、真菌、ウィルスなどの媒介、また糞などによって人にアレルギーを引き起こすという事例もある。そして、ゴキブリがサルモネラ食中毒と関連づけられていることをご存知だろうか?ゴキブリは、スタヒロコッカス、ストレプトコッカス、大腸菌およびその他の細菌性病原体を持っている。 病原性細菌はゴキブリの消化器系に1ヶ月以上存在することができ、ゴキブリの糞で食物や什器が汚染される。サルモネラ菌は、ゴキブリの糞中で数年間生存できることが立証されており、さらに糞からフェロモンを発し、仲間を呼び寄せることができる。

 

 

 *ベストHPのお掃除教室 →カビ・ダニ・ゴキブリまとめて対策より、ゴキブリキャラのゴッキー(和名)
http://www.osouji-best.com/OsoujiSchool/kabi_dani_goki.htm

 
1) ゴキブリの生態と発育(繁殖)条件
ゴキブリの中でも繁殖力が高く被害の多いいチャバネゴキブリについて紹介する。

① 挙動と隠れ処
チャバネゴキブリは暗く湿った場所、暖かく狭い場所などを好む。巣を持ち、普段は幼虫、成虫とも、暗くて狭い巣でじっとしている。住まいにおけるチャバネゴキブリの集合場所の例として、キャビネット、壁、天井空間、冷蔵庫、自動皿洗い機、オーブン、洗濯機、乾燥機、湯沸かし器の中および回りの隙間や窪み、ダンボール箱など様々である。予防としては、隠れ家になるような場所を極力作らないようにするなどがある。

② 習性:仲間を呼び寄せる
チャバネゴキブリの糞表面には糞中にある集合フェロモンがマーキングされているので、自分の居場所を仲間に伝え集まることができる(自分のためでもある)。この集合フェロモンは、未成熟段階において非常に誘引性がある。このようなことからもチャバネゴキブリは、フェロモン臭が消えにくい空気の滞留した、暗い、糞の多い場所に集合する。
予防としては、室内の空気が停滞せずに循環するような、家の設計や換気システムなどを積極的に採り入れる。

③ 温度と湿度条件
チャバネゴキブリは暖かく暗く湿った場所を好む。温度は7~40℃で生息するが、18~35℃位が適温のようである。30℃を超えると行動が活発になり空を飛ぶともいわれており、実際に夏の熱帯夜など家の明かりに向かって飛んでくるゴキブリを見た人もいると思う。湿度は75%~100%と高湿度を好む。ゴキブリはもともとは熱帯雨林のような場所で繁殖してきたため、住まいの中でも、高湿度で温かい熱帯雨林のような温度と湿度をもつ場所を好むようである。
予防としては、室内温度が30℃を超えないように温度調節をするほか、室内の湿度を年間平均75%以下に抑える。

④ 餌(エサ)
水の他に、塵や ほこり、食品の屑、毛髪、切られた爪、油汚れ、汚れた衣類、ペットのエサや抜け毛、死んだ昆虫(ダニなど)、カビなど、ほぼ何でも食べる。
予防としては、エサとなる汚れ物質を速やかに除去する事であり、こまめな掃除が必要とされる。

⑤ 産卵場所
チャバネゴキブリは、隠れ処として狭くて小さな場所を好む。これらの場所は、ゴキブリが安心し、休息し、交尾し、繁殖する場所となる。ゴキブリは、1.5 ミリのスペースで十分であり、小さい亀裂や隙間は適切な棲息場所となる。またゴキブリは、木、紙、ダンボール、断熱材、布のような柔らかく、多孔性の表面との接触を好む。
予防としては、隠れ家となるような場所を作らないようにする。たんに隙間や亀裂を無くすという概念だけでなく、物を置くことによってできる隙間や凹凸を作らないための整理整頓や掃除がラクな環境を作るほか、建材や室内の設計などにいたるまで積極的に予防対策を採り入れることで、ゴキブリの隠れ家となる場所を減少させる。
もし食べ物、水、隠れ処(要因)があれば、ゴキブリの数は急速に増殖していく。これらの要因が取り除かれると、数は増えずに減ることとなる。

(3)ダニ・ゴキブリの対策ポイント
◎ 掃除をこまめにする(こまめに掃除をしてエサとなるものを除去する)
◎ 害虫を侵入させない(発生および寄せ付けないための対策)
◎ 湿度をコントロールする(発育をさせないための対策)
◎ 室温が高くなるのを防ぐ(発育をさせないための対策)
◎ 防虫剤(発生および寄せ付けないための対策)

 

【3】 カビ・ダニ・ゴキブリの発育条件比較と共通対策ポイント
それぞれの発育(繁殖)条件をまとめてみると、各項目で共通の条件があるのがわかる。つまり、カビ・ダニ・ゴキブリの発育に適している場所は、とても似ていると考えられる。カビ・ダニ・ゴキブリの基本的な発育条件(酸素以外の)はつぎのようになる。
 

 * 赤の数字になるとカビ・ダニ・ゴキブリが活発に繁殖する!

 

  

 

上記の共通発育条件を1つでも減らしていくことが、カビ・ダニ・ゴキブリをまとめて対策&予防をすることになる。気温20~30℃という室内温度は、人にとっても生活しやすい温度であるから、それを調節するのはとても厳しい選択となるため、室温が高くなりすぎるのを防ぐ程度の対策となる。 そこで注目するべき予防ポイントは、室内の湿度対策と、エサ(栄養)となる「塵・ほこり・その他」の除去対策が重要なポイントとなる。これらのことを踏まえて、カビと害虫(ダニ・ゴキブリ)の対策ポイントを比較し、カビと衛生害虫(ダニ・ゴキブリ)の共通対策ポイントとしてまとめてみる。

 

——– カビと衛生害虫の共通対策ポイントまとめ ——–

◆ カビ・害虫(ダニ・ゴキブリ)対策ポイント
◎ 掃除をこまめにする(掃除をラクにして汚れ(エサ)を速やかに除去する対策)
◎ 湿度をコントロールする (湿度を年間通じて50%以下を保つ対策)
◎ 結露を防ぐ(建築物の設計・施工方法などにより躯体内部や室内の結露を防ぐ)
◎ 室温が高くなりすぎるのを防ぐ(室内温度が調節できる対策)
◎ 害虫を侵入させない(発生および寄せ付けないための対策)
◎ 防カビ剤および防虫剤(発生および発育をさせないための対策)

 

 
★現場画像1.天井裏のカビ被害と照明器具(暖かい)で休憩中のゴキブリ。共通の発育環境が整っている。

   

 

  

 

 次回は、汚れの分析と対策ポイント – その4 を紹介する。

汚れの分析と対策ポイント – その2 /第二編 1-2 

 
 

● 1-2 汚れの分析と対策ポイント
 
 

1-2.2 微生物や衛生害虫の発生による汚れ

住まいの汚れの中には、「生物の活動などにより付着する汚れ」がある。これらの汚れは生きているため発育条件がそろうと増殖する。生物が原因となる汚れとして、カビやコケなど微生物の発生や、シロアリによる建材の損傷やゴキブリの糞など衛生害虫の活動に伴う汚れ、ねずみや鳥など動物の活動に伴う汚れなどがある。微生物・衛生害虫・動物の活動などにより付着する汚れは、美観を損なうだけでなく病原菌を媒介したり、吸入性アレルギーの原因ともなるため衛生上好ましくない。そして住まいに発生してしまうと、除去および駆除が大変で、人と家に害をもたらす汚れとなる。

 

【1】微生物の汚れ(カビ)
住まいに発生する代表的な微生物として”カビ”があり、「掃除がラクな家」では主にカビを微生物の汚れとする。カビは湿度が高く温かい場所に発生する。住まいにおいては水廻り(バスルーム・洗面所・キッチン・トイレなど)や北側にある窓サッシの周りなどにカビの発生が多い。住まいに発生するカビは専門的に”真菌”(*1)といい、クラドスポリゥム・アスペルギルス・アルテルナリアなどに代表されるように菌糸を持つものが多く、目に見える状態になってから気づく事がほとんどである。カビはあらゆる所に発生し、壁・塗装面・床面などにとどまらず、人体にもカビは発生するので、環境衛生上からも好ましくない。また、カビはダニのエサでもあり発育環境も似ているのでカビと共にダニも発生しやすいことや、建材の損傷にも結びつき大きな被害を与えるなど、人体への危険度や汚染範囲の広さを考えると、予防対策するべき重要な汚れとなる。

 

 

*1真菌
カビ菌のことを真菌と呼ぶ。真菌の種類はとても多く、中には真菌症(*2)として人間に感染するものもあるほか、吸引性アレルギーの原因物質とされている。カビの胞子は”ほこり”と似た性質を持ち、風や歩行などの衝撃により空気中に飛散して浮遊塵となり移動する。そして建材などに付着し、発育条件が整うと発生および増殖していくため汚染範囲も広い。

*2真菌症
真菌症とはカビなどによって引き起こされる感染症である。真菌症にはカビが皮膚から進入して病変を起こす表在性真菌症と、呼吸や経口で体内に侵入して障害を及ぼす深在性真菌症がある。表在性真菌症で代表的なのは白癬(水虫)やカンジダなどである。深在性真菌症は臨床的にカンジダ症、アスペルギルス症、クリプトコックス症が重要で、近年の剖検例ではカンジダ症に代わり、アスペルギルス症が最も多くなっていると言われている。

 

(1) カビの性質
カビは、菌糸と呼ばれる根の部分と、胞子と呼ばれる葉のような部分の2つに分かれていいる。単体の胞子は目に見えないほど小さく、風や衝撃によって空気中に飛散しやすい性質を持っており、発育条件がそろえばどこにでも発生する。
カビは植物に近いという概念があったが、最近ではDNAの比較分析により、進化の系統上、菌類は植物よりもむしろ動物に近いことが明らかとなった。
・・・文部科学省「カビ対策専門家会合」より

(2) カビの発育条件
カビは、栄養、酸素、温度、湿度、この4条件がそろうと発育する。
1) 栄養:カビの栄養源は、ホコリや人のアカがあれば十分といえるほど、多くの物を栄養とする。
2) 酸素:酸素も重要な条件だが、人にとっても取り除くことはできない。
3) 温度:5℃~35℃で生育する。なかでも25℃~38℃位が活発に繁殖するカビの種類が多い。温度は10℃以下がカビの生育を抑えるが、人には寒いと感じる温度である。
4) 湿度:通常のカビは湿度が70~90%位を好むが、好乾性のカビだと65%以下でも発育する種もある。人が快適に感じる湿度は40%~65%なので、年間を通じて室内の湿度を40%~50%に保ことが最良のようである。

(3) 対策ポイント
◎ 掃除をこまめにする(こまめに掃除をして栄養となるものを除去する)
◎ 湿度をコントロールする (室内の湿度を年間通じて40%~50%を保つ)
◎ 結露を防ぐ(建築物の設計・施工方法などにより躯体内部や室内の結露を防ぐ)
◎ 防カビ剤(発生および寄せ付けないための対策)
★カビ菌は空気中いたる所に混在しているので室内への侵入を防ぐことは不可能に近いことです

 

 

【2】 衛生害虫の汚れ(ダニとゴキブリ)
住まいの室内環境において、人間の健康にかかわり合いを生じる恐れのある生物としては、前述のカビのほか、ねずみ・ゴキブリ・ダニ・蚊・ハエ・その他の害虫などがあり、個々の生態や性質はそれぞれ違うが、基本的な対策は共通する事が多く、ここでは主にそれらをまとめて”衛生害虫”と呼び、ねずみもゴキブリなどの害虫も衛生上および物質上の害を与える。ゴキブリやハエなどは汚物や食品に集まり、汚物や病原体を運搬する危険な働きをするほか、ダニや害虫の屍骸が乾燥破砕して空気中に飛散し、吸引性アレルギーの原因物質ともなり、衛生上好ましくない。また、シロアリのように建材を侵食するなどの被害をもたらすものもいる。その他、直接的な害ではないが、不潔感・悪臭・視覚的不快感をもたらすのも衛生害虫の特徴である。害虫の被害が多い時期は5月~10月で気温や湿度が高いなど発育条件のよい時期に多い。(詳しくは、東京と福祉保険局のホームページへ 東京都におけるねずみ、衛生害虫の調査結果)

   

「掃除がラクな家」では、衛生害虫の中でも主にダニとゴキブリについて対策していく。室内におけるダニやゴキブリの発生原因としてはつぎに挙げることが考えられる。
① 外からの侵入:外から室内に侵入してくる
② 室内での発生:何らかの理由により個体や卵が侵入し、繁殖する

(1)ダニ
ダニは世界で6万種いると言われており、そのうち日本では約1700種類もいるといわれている。住まい(家屋内)から検出されるダニは100 ~150 種類だが、これは家屋内に生息しているダニ類と家屋外から侵入してくるダニ類の合計となる。このうち特に問題になるのは、家屋内に生息するヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ (チリダニ科)、ミナミツメダニ (ツメダニ科)となる。ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニは吸引性アレルギーの原因物質 (アレルゲン) になり、家屋内から検出されるダニ類の70%以上をこのダニ類が占める。このダニ類は、生虫、死虫、糞のいずれもがアレルゲンになり、家屋内で検出されるダニの中では最も注意を要する種類と言える。その他ミナミツメダニは8~9月に異常発生する事が多く、人を刺し、吸血はしないが人の体液を吸う。 ミナミツメダニは捕食性で、他のダニ類やチャタテムシやカビなども摂食する。
1)ダニの生態と発育(繁殖)条件
* ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニ・ミナミツメダニの繁殖条件

① 温度条件
気温20~30℃でよく繁殖する (特に25~28℃) 。冷蔵庫内 (4℃) でも湿度があれば2週間ほどは生息できるともいわれているが、高温(50℃以上)には弱い。

② 湿度条件
コナヒョウヒダニは相対湿度60%以上、ヤケヒョウヒダニとミナミツメダニは70%以上の相対湿度を必要とする。50%以下ではいずれも繁殖することができない。55%ではヤケヒョヒダニとミナミツメダニが1ヵ月以内に死滅し、コナヒョウヒダニは死滅するまで数カ月かかる。ただし、部屋全体の湿度というよりも、ダニ虫体周辺の湿度が問題となるので注意する。 
予防としては、室内の湿度を年間平均50%以下に保つことが重要となる。

③ 餌(エサ)
ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニは塵の成分であるフケ、アカ、食品の屑等に含まれる不飽和脂肪酸を含有するものを食べる。ミナミツメダニは捕食性で、ダニ類(共食いもする)やチャタテムシ(家屋内に激増した昆虫で、食品害虫 体長1mm)、カビも好み摂食する。 
予防としては、エサとなる汚れ物質を速やかに除去する事であり、こまめな掃除が必要とされる。

④ 産卵場所
家屋内のダニは背光性(暗いところを好むこと)で、虫体が小さいので畳表にある隙間でも潜ることができる。これらの習性や特性を生かして、畳、カーペット、寝具、衣類、ぬいぐるみ等に潜って産卵する。ただし、寝具や衣類、ぬいぐるみなどは低含水量であるため、潜っても多くの個体が死んでしまう。
予防としては、床材に畳やカーペットなどを使用するよりも、フローリングやタイルやクッションフロアシートなど、隙間となる凹凸がないまたは掃除がラクな凹凸をしている床材を積極的に使用することでダニの住処となる場所を減少させる。カーペットも部分的に敷くラグマットのほうが掃除やメンテナンスもラクで衛生的となる。

 

 

・・・ 次回は、 「汚れの分析と対策ポイント – その3」 について紹介する。

汚れの分析と対策ポイント – その1 /第二編 1-2 

 

● 1-2 汚れの分析と対策ポイント
 

1-2.1 ほこりなど空気の汚れ
“ほこり”は住まいの汚れの中でも大きな割合を占めており、ほこりを除去すれば日常的な掃除の半分終わったといっても良いほどである。そして、汚染範囲が広いというだけでなく、現代の密閉化された室内環境においては、衛生上好ましくない汚れのため、日常的に除去しなければならない最も重要な汚れといえる。吸入性アレルゲンを含むハウスダストも、汚れの分類上”ほこり”として考える。

【1】汚れの原因と成分
室内におけるほこりの発生原因としては、外から室内に侵入してくる外部侵入と室内で生じる内部発生がある。

(1)外からの侵入
外から室内に侵入してくる汚れとして土ぼこり、炭素粒子、金属粉、各種磨耗粉、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、カビの胞子、花粉、その他などがあり、侵入経路としては、気流に運ばれて開口部から入る・人や物に付着して入る・泥として靴などに付着して入り乾燥破砕により浮遊塵となるなどの経路で室内に侵入してくる。
*冬になると “ほこり”が増える!
冬になると外気の湿度が下がり乾燥する。このことで水分を有していた汚れも乾燥破砕などにより発塵して浮遊塵となるため、冬になるとほこりが増えるのである(季節に関係なく室内も湿度が低く乾燥すれば同じ現象が起こる)。

(2)室内での発生
室内で生じるほこりの多くは各種の磨耗粉となる。その大部分は衣類や紙から生じた繊維などの粉であるため、この種のほこりを俗に”綿ぼこり”という。その他にフケ・アカ・カビ類・ダニ類・タバコの煙・ペットの毛なども加わり、これらをまとめてハウスダストとも呼ばれている。

★資料1. ハウスクリーニング現場における、室内の空気を循環使用するエアコン。本体カバー外面は、たばこによるヤニ汚れやほこり等が混ざり、かなり汚れている。内部フィルターにもほこりがビッシリ。
 

★資料2. 本体カバーを外して洗浄。さらに、内部も洗浄。

 

 ★資料3. 内部洗浄後の汚水。真っ黒な汚水は、エアコン内部の汚れであり、室内空気の汚染度が色で表わされているようでもある。空気の汚れの色?そんな気もする。

   

 

【2】汚れの性質
ほこりは、風や衝撃によって空気中に飛散しやすいが、若干の間空気中に浮遊したあとは、徐々に沈降して建材や家具などの上に付着する。ほこりが空気中に分散浮遊している場合を”浮遊塵”と呼び、床や器物に堆積している場合を”堆積塵”という。汚染範囲が広く凹凸や隙間などにも入り込み付着するので掃除が大変となる。さらに、汚染されたほこりを人が吸入することは健康上問題がある。*汚れの質量が軽いほど空気中に長く浮遊する。

   

 

【3】健康阻害要因
一般にほこりの目に見える限界は10μm程度とされており、これ以下の場合肉眼で見る事ができず、空気中に浮遊する時間も長く、多くはスモッグの粒子のように半永久的に空気中を浮遊する。人間がほこりを吸入すると、粒子の大きな物(15~100μm程度のもの)は鼻やのどの粘膜に捕らえられるが、中程度の粒子(1.0~15μm程度のもの)は上気道に付着し、ごく微細なもの(1.0μm以下のもの)は深く肺胞まで侵入して沈着する。

◇ ほこり粒子の大きさ (*数値はだいたいの目安・・・単位:ミクロン=μ)
花粉10~100μm・細菌1.0~11μm・掃除機の排気0.2~10μm・浮遊塵0.1~12μm・油煙0.04~1.0μm・ウイルス0.02~0.05μm・タバコの煙0.01~0.1μm

   
汚染されたほこりを吸入すると、呼吸器を害したり、各種アレルギーの原因となる。また病気の細菌感染を媒介する事にもなるので、健康を考えた掃除をするうえでも除去しなければならない重要な汚れとなる。

 

【4】ほこりなど空気の汚れの対策ポイント
分析結果をもとに、汚れの予防対策を行う。ほこりなど空気の汚れに対してどのような予防対策を行うべきか、そのポイントをつぎに挙げる。

◎ 室内への侵入を防ぐ
◎ 室内の汚れにくい設計と建材選び
◎ 室内のほこり(浮遊塵)を速やかに室外へ除去する

 

 

★現場画像1.住宅用天井埋め込み式エアコンのフィルター汚れ。左は清掃済み、右は清掃前

   

 

★現場画像2.浴室用天井埋め込み式換気扇。

 

 

★現場画像3.高所天井扇及び照明器具
   

★現場エピソード
あこがれのマイホーム。建築家による個性的なデザインが自慢で、新築時は大変喜んでいたのだが、数年後、リビングのシンボルである吹き抜けの高窓や天井扇や照明器具などの汚れが目立つようになったので、掃除をしようとしたが高すぎて出来ないことに気付き、掃除業者に依頼をしてくる居住者もいる。
上の現場画像は、当社に吹き抜けの天井扇と照明の掃除依頼をしてきた居住者宅の写真。日の光もよく入り、天井扇の汚れ具合からも空気が循環しているのが予想できる。しかし、設置されている天井部まではかなり高く、高所作業となるため通常の作業よりも時間と費用が多くかかる。居住者も新築の段階では気付かないことであったが、長期にわたる維持管理を考えると、掃除メンテナンスを考えた設計はランニングコストの面でも大切なことといえる。

次回は、 「汚れの分析と対策ポイント – その2」 について紹介する。

汚れにくい環境を作る -1 住まいの「汚れ」を特定する /第二編 第一章 

 

 

 第一章 汚れにくい環境を作る

 掃除をラクにするためには、汚れにくい環境を作る事がもっとも大切な事となる。極論を言えば汚れなければ掃除をしなくても良いのである。しかし、住まいは使用しなくても時間の経過にともなって汚れていく。汚れにくい環境を作るためには、掃除の対象となる汚れを特定することから始まる。そして、汚れが付着するということは必ず原因があるもので、特定した汚れを分析し、発生原因や性質を考慮した汚れ対策をすることで、汚れの発生防止や発生量を減らすことになる。さらに、汚れが付着および室内へ侵入した場合、その汚れを速やかに除去するための対策なども併せて行うことが、汚れにくい環境を持続させ居住後の掃除をラクにするのである。

*その他、凹凸を無くしたり、掃除がラクな建材を使用したり、掃除がラクな作業環境を確保することで掃除およびメンテナンスをラクにするなど、他の法則を採り入れて、汚れにくい環境を作ることも大切である。

 

   

 

 

 

 

● 1-1 住まいの「汚れ」を特定する

1-1.1 健康のための掃除
汚れの予防対策をするまえに、予防の対象となる汚れを特定しなければならない。ここでは健康のための掃除ということで、主に室内に発生する汚れについて特定していく。一日の大半を過ごす住まいについて、現在、換気不足やダニ・カビの発生、ホルムアルデヒドなどの化学物質による影響が問題となっている。その中でも注目するべき現状として、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症などを含む何らかの免疫アレルギー性疾患を有する患者は、日本国民のおよそ30%に上るともいわれている。この疾患により多くの国民が日常生活に支障を来していることから、国としても放置できない重要な問題となっている。その、アレルギー性疾患とは何か?を、東京都福祉保健局のアレルギー予防を引用してかんたんに紹介する。

 

 
 

* 2007年調べ「東京都福祉保健局健康安全室環境保健課のホームページ→アレルギー対策→アレルギー豆知識→アレルギー予防のために」 から引用しているのだが、2009年時点においてサイトのリンクは切れている状態であった。
( http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kanho/allergy/tishiki/allergyprevention.html リンク切れ)
ちなみに、2009年時点で東京都福祉保健局(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/index.html )トップページ →環境・衛生 →環境・衛生施策 →アレルギー・花粉症 →東京都アレルギーホームページ →アレルギー豆知識という、新しくリニューアルされたサイトとなっていた。

 

【1】アレルギーとは
ヒトはからだの中に異物(たとえば、ウイルスや、細菌など)が入ってくると、その異物に対抗する物質を作って(抗体といいます) 異物を排除しようとします。これを免疫反応といい、ヒトは免疫反応によって、さまざまな外敵から自分の身を守ってきました。しかし、この免疫反応が異物(抗原といいます)をやっつけず、逆にその人の体を攻撃してしまうことがあります。このような反応をアレルギー反応とよびます。たとえば、ダニや家のホコリを吸い込むと、胸が「ゼーゼー」したり皮膚がかゆくなったりするような、さまざまな症状は、アレルギーの反応によって引き起こされるものです。

【2】アレルゲン(アレルギー原因物質)
アレルギーの反応では、IgE抗体という抗体が「攻撃」の中心的な働きをしています。また、これに対応する抗原をアレルゲンとよびます。このアレルゲンがアレルギーの原因物質です。アレルゲンは主に吸い込んで体の中に入る「吸入性アレルゲン」と、食べ物として入る「食物性アレルゲン」とに分けられます。吸入性アレルゲンではホコリやダニ、カビ、花粉、ペットの毛やフケなどが、食物性アレルゲンでは卵、牛乳、小麦などがあります。花粉症のアレルゲンとして代表的なのはスギ、ヒノキや、イネ科の植物などの花粉です。

【3】アレルギーの病気
気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・結膜炎(花粉症など)、などがアレルギーによっておこる代表的な病気です。また、かぜをひきやすく、かぜをひくとゼーゼー、ヒューヒューする、息が苦しくなる、湿疹ができやすい、かゆがる、くしゃみや鼻水を繰り返す、眼がかゆいなどの症状は、アレルギーによる病気のはじまりを示していることがあります。

 

資料 [2007年4月12日/日本経済新聞 朝刊]より
● 子供のアレルギー、アトピー70万人–文科省が初の調査
文部科学省は11日、子どものアレルギー疾患について、すべての公立小中高校を対象にした初の全国実態調査の結果を発表した。アトピー性皮膚炎の児童生徒は約70万人、ぜんそくは約73万人と、いずれもほぼ18人に1人。花粉症を含むアレルギー性鼻炎は約118万人と1割近くに上った。
同省は今年度にも、同疾患をもつ子どもごとに、学校が注意すべき点を医師があらかじめ示しておく「学校生活管理指導表」を導入する。
調査はアレルギーのある子どもの有無や学校の対応について、2004年12月から05年2月にかけて聞いた。回答した学校の児童生徒数は約1277万3000人で、小中高校の子ども全体の約9割を網羅する大規模調査となった。
アトピー性皮膚炎にかかっている子どもは69万9086人で全体の5.5%、ぜんそくは73万466人で5.7%を占めた。

 

 

1-1.2 住まいの汚れを特定する
住まいの汚れを特定する場合、健康面を考えるとアレルギーの原因となる「アレルゲン」の存在は無視できない重要な汚れとなる。しかし、アレルゲンの種類はとても多く、全てを汚れとして考えるわけにはいかないのである。そのため、住まいの汚れとしてのアレルゲンを考える。

【1】吸入性のアレルゲン
アレルギーの原因物質であるアレルゲンには、食物として体内に入る食物アレルゲンと、空気を吸い込んで体内に入る吸入性アレルゲンがある。このうち、住まいの掃除をする事で改善できるのは吸入性アレルギーとなる。衛生的な室内環境の確保を目的とした場合に、 吸入性アレルゲンとして「ハウスダスト」を、住まいの汚れとして考える。一般的にハウスダストと呼ばれている吸入性アレルゲンには、つぎのようなものがある。

◇ ハウスダスト(浮遊塵となる汚れ)
(1) ほこり (2) ダニ  (3) カビ  (4) 花粉  (5) ペットの毛やフケ
(6) その他(繊維のクズ、ソバガラ等)

このうち、最も注意が必要なアレルゲンがダニとなる。近年、住まいの高断熱および高気密化によりダニの種類や数が増えている。ダニは生きているダニそのものの他に、フンや死骸もアレルギー症状の原因となるため、アレルギー性皮膚炎やぜんそく等を含め、アレルギー症状や疾患の80%程度がダニに関連しているといわれている。
対策としては、掃除して除去するだけでなく、ダニを発育させない環境作りが大切となる。さらに、汚れとは違うが健康的な室内の空気環境を考えると、シックハウスについても併せて対策していくことにする。

 

【2】シックハウス対策について
新築・リフォーム後の住宅などで、臭気を感じたり、目のかゆみ、喉の痛み、頭痛など、さまざまな体調不良を居住者が訴えるといった報告がなされている。これらは一般に「シックハウス症候群」と呼ばれており、ホルムアルデヒドを始めとした化学物質、ダニやカビなどの生物因子、建築物の設計・施工方法、換気などの住まい方など、様々な複合要因が影響していると考えられているが、その症状は多様で、未解明な部分が多く残されている。その中でも有害化学物質による室内空気汚染が問題視されている。室内では、建材や家具、芳香剤や防虫剤などの家庭用品から、様々な化学物質が発生している。とくに近年の住宅は機密性が高く窓などの開口部を閉め切った状態であると、自然換気量は少なく、室内の化学物質濃度は高くなり健康に影響を及ぼす事もある。
空気中の有害物質としては、ホルムアルデヒド(HCHO)や揮発性有機化合物(VOC)などが挙げられる。
このことからも新築およびリフォームを行う際には、使用する建材や家具などを選ぶ時に、ホルムアルデヒドなどの有害化学物質の発生量が少ないものが望ましい。とくに、家が新しい時やリフォームして日が浅いうちは、建材などにより発生する化学物質の発生量が多いため、通風や換気をこまめに行い室内の化学物質濃度が高くならないようにする事が大切である。

 

【3】住まいの汚れ
健康で快適な室内環境を考える場合、人体に害を与えるような異物(汚れ)として、吸入性アレルギーのアレルゲンを重要視し、シックハウスについても併せて予防対策をしていく。このことを踏まえて、住まいの数ある汚れの中から、「人体への危険度」と「住居の汚染範囲」などを考慮して大きく3つに分けて特定した。

1. ほこりなど空気の汚れ
(ハウスダスト:カビの胞子や花粉、炭素粒子、タバコ煙、ペットの毛なども含む)
2. 微生物や衛生害虫の発生による汚れ
(カビ、ダニ、ゴキブリ、その他)
3. 日常生活に伴うその他の汚れ
(キッチンやバスルームの使用など、日常生活にともなって発生する様々な汚れ)

 

★ほこりなど空気の汚れ(天井埋め込み式換気扇のフィルターに付着した汚れ)
   

 

★微生物や衛生害虫の発生による汚れ(天井から壁面を汚染しているカビ被害)

 

 

★日常生活に伴うその他の汚れ(ハウスクリーニングでも人気の高いメニューの一つである水廻りは、汚れの種類も多く他の場所に比べても比較的掃除も大変となる)
 

 

 

 

 次回は、特定した3つの住まいの汚れの、分析と対策ポイントについて紹介したいと思う。

掃除がラクな家の作り方 (掃除がラクになる法則の使い方) /第二編 

● お知らせ

これから紹介する「掃除がラクな家のつくり方」は、2007年に完成した【構想案2007】の原文となる(一部修正あり)。第一編で紹介した基本内容は変わらないが、第二編からの「掃除がラクな家のつくり方」は現在(2009年)までに3つの構想案が完成している。そして掃除の専門家による、家をまるごと掃除をラクにするための新提案は、業界初であると認識している。
これらは構想案であり、断定的な内容ではない。しかし本文中(構想案2007)では、筆者の掃除をラクにしたいという熱い思いが、読者に誤解を招くこともあるので、初めに記しておく。構想案は筆者の様々な掃除の経験や知識と、多くの資料にもとづく仮説である(2009年5月現時点で構想案の掃除がラクな家は完成していないためである)。したがって、情報に関する成否の判断は読者が行うものと考えているので、ご了承いただきたいと思う。
 

★ 3つの「健康住宅・掃除がラクな家」の構想案

① 「健康住宅・掃除がラクな家」の構想案 2007
もともと、筆者の自宅新築のために制作した「健康住宅・掃除がラクな家」の【構想案 2007】。実際に建設することを目的に、2007年時点における建築技術や設備機器などを対象として、「健康住宅・掃除がラクな家」をパッケージ化した1例でもある。この【構想案2007】については本連載企画にて紹介していく予定である。初回作でもあり、まとめ方がやや強引なところもある。

*ちなみに、少しでも内容を早く知りたい方は、
日経ホームビルダー2008年10月号よりスタートした連載「掃除がラクな家のつくり方」(2008/10~2009/03まで全5回)においては、構想案2007を基に読者となる工務店や設計事務所などの住宅建築に携わる方々に、「掃除がラクな家」を即戦力として活用および導入してもらいたく、簡略的に企画をまとめたものである。
こちらは、日経BP社より雑誌のバックナンバーや記事(PDF)を購入することもできるので、ぜひ活用してもらいたい。【構想案2007】の原文よりも、こちらの方がわかりやすい?とも感じている。

② 「健康住宅・掃除がラクな家」の構想案 2008
構想案2007をさらに研究していくと、現行の技術や建材では対応しきれない掃除問題に直面し、その解決案として「掃除をラクにするためにこんな技術や建材や住宅設備などあれば・・・」という、様々なアイデアを形にした新商品案を加えて【構想案2008】(2008年6月:原稿120枚以上・新提案25+α)を制作。
【構想案2008】を制作中アイデアがどんどん出てきたが、実現出来るかもわからないため、程々でまとめた。そして、2009年現在もアイデアは増え続けている。

③ 「健康住宅・掃除がラクな家」の構想案 2009
2009年、いよいよ実際に「健康住宅・掃除がラクな家」の第1号を新築しようと決意。そして「掃除がラクな家の建設」は、2009年7月に創刊10周年を迎える日経ホームビルダーの記念企画にも選出された。それに伴い、2009年時点における建築技術や設備機器などを対象とし、新しいアイデアを含む「健康住宅・掃除がラクな家」の【構想案2009】を制作。こちらは、日経BP社との共同プロジェクトとして2010年~ 完成予定で、情報については、日経ホームビルダーにて掲載予定。

 
 

 
● 第二編 掃除がラクな家の作り方 (掃除がラクになる法則の使い方)

住まいの掃除をする一番大切な目的は、人体に害を与えるような異物(汚れ)を人間の生活空間から排除し、衛生的な環境を確保する事である。これから紹介する健康住宅「掃除がラクな家」は、入居後何十年と続く住まいの日常的な掃除を、少しでもラクにするための掃除の専門家による構想案である。実際に家を設計して建てるのは、建築家や専門業者の仕事となるが、居住者や建築家や専門業者など多くの方に「掃除がラクになる法則」を採り入れた「掃除がラクな家」を理解してもらう事で、住まいの掃除はもっとラクになり、健康的で快適な居住環境となるのである。

★室内の汚れ画像1(換気扇のフィルターに堆積固着した空気中の汚れ)

   
★室内の汚れ画像2(壁面に発生したカビによる汚染と建材の劣化損傷)

 

 
★室内の汚れ画像3(開口部の結露による様々な汚染と建材の劣化損傷)

 

 

健康住宅「掃除がラクな家」は、新築およびリフォームを行う構想段階から、住まいから排除する”汚れ”を特定し、掃除がラクになる法則を採り入れて、あらかじめ予防対策することで、健康的な生活空間を容易に維持管理していくことを目的としている。
そして、汚れの予防対策を行う際に、エコロジーについても併せて考える事で、「掃除・健康・エコ」がラクな家となるのである。第一章から第四章までは室内環境についての対策を考えていき、第五章で外装についての対策を行う。

 

 
では、掃除がラクになる法則を基に対策例を次回から紹介する。

連載:最終回 「お掃除ニャンポイント講座」

雑誌「猫生活」(2009年5月号・緑書房)にて、当社のクリーンプロデューサー「植木」によるお掃除企画【お掃除ニャンポイント講座】を連載!。そして、2008年7月号よりスタートした連載も、1年を迎えていよいよ最終回。連載を通じて、猫と暮らす年間お掃除アドバイスをお届けすることができました。
ご愛読ありがとうございました。

 

よみうり ペット 「におい対策」

読売新聞の定期購読者向けの情報誌「よみうりペット」(2009年4月号)の、ペットのにおい対策実践編にて監修をしています。

掃除がラクになる法則 /第一編:掃除 第三章

 

このたび初めて紹介する、掃除がラクになる法則(うえきの法則)は、掃除の専門家であり筆者でもある植木照夫により考案されたものである。この法則を住宅に採り入れることで住まいの掃除が従来よりもラクになる他、様々な対象物で行う掃除をラクにするための指標的役割をもつものとなった。
掃除がラクになる法則は、様々な分野で応用できる。それは、建築物に限らず家具や電化製品やetcなど、人間が生産し継続的に使用していく物であれば、必ず掃除・メンテナンスが必要になってくるからである。掃除・メンテナンスのことも考えて作られた製品は、衛生的で長く使う事のできるエコプロダクツともなる。今回は、様々な物の集合体である「家」をテーマに、法則について簡単に紹介していく。

 
●3.1 住まいには、掃除のしやすい家と、しにくい家がある 
建築物の掃除には、室内外の床・壁・窓・天井などの各部位に使用される建材から、それらに付随する、照明や空調機器などの設備類のほか、家具に至るまで様々なものがある。それは、建物を利用する人の健康と建物全体の維持管理を考えると、掃除を行う範囲や対象物は必然と多くなるためである。
筆者も掃除業界に携わり15年以上になるが、ビル~住宅、新築~中古物件と様々な建物を掃除してきたなかで、住宅(建築物)には掃除のしやすい家と、しにくい家とがあることに気が付いた。「掃除のしやすい家」には、掃除のラクな物(建材)や場所(作業環境)など様々な共通要素がある。それらを組み合わせて家を建てれば、居住後の掃除はラクになることが予想できた。このような長年の作業経験に加えて、掃除の方程式を基に、掃除がラクになるための法則を考案した。

3.1-1 住まいの掃除をラクにするための法則の考案
いくら掃除の基礎知識を身につけて作業効率を向上させたとしても、やはり掃除は大変である。しかし、家を新築およびリフォームする際に、構想段階から汚れや掃除の予防対策ができれば、住まいの掃除はもっとラクになる。そのためにも掃除の専門家として、長年様々な現場で掃除作業をしてきた経験と、掃除の方程式を基に、汚れにくく掃除がラクになる法則を考案した。

方程式 → 法則
掃除の方程式を基に、住まいの掃除をラクにするための予防対策を考える。掃除の方程式で最初に行うのは、汚染の現状分析である。分析の結果に何も問題もなければ、掃除がラクまたは掃除をしなくてもよいということになる。

 

  
 

汚れの知識
居住後の住まいに付着した汚れを除去するための掃除。掃除対象となる汚れは、主に建築仕上げ材の表面に付着している。その付着原因を考えると、汚れが付着しにくい環境作りが大切なことに気付く。極論を言うと、汚れなければ掃除をする必要はないのである。しかし、現時点でそれは不可能といっても過言ではない。つまり、汚れにくい環境を作るということが、掃除をラクにするということになる。
★汚れの分析手順
①付着原因 ②種類 ③付着状態 ④経時変化

 
建材の知識
では、付着してしまった汚れについてはどのような対策があるのだろうか。先に述べたが、掃除対象となる汚れは、主に建築仕上げ材の表面に付着している。汚れが付着する場所となる建材(素材)自体に、汚れにくく掃除のしやすい物を活用することでも、掃除がラクになるといえる。つまり、掃除がラクな建材(素材)を使用するということである。

★建材の分析手順
①種類と使用部位 ②耐水・耐洗剤性 ③表面形状や硬度および吸水・吸湿性
*汚れが付着しにくいものは掃除がラクといえる。
*除去力(化学的な力・物理的な力)を活用しやすいものは掃除がラクといえる。
*掃除作業がラクなものは掃除がラクといえる。

ここで注目したのは建材の表面形状である。とくに、建材の表面が平滑・密であれば、汚れは付着しにくく、付着しても除去しやすいが、建材表面に凹凸や隙間が多ければ、汚れは付着しやすいし、付着した汚れを除去するにも困難を伴うことである。
これは建材だけでなく、モノの全体像や室内空間で考えたときにも当てはまる。つまり、凹凸の有無や数や形状によって、汚れ方や掃除性に大きな変化を及ぼすといえる。そして、全ての凹凸が汚れやすく掃除が大変というわけではないことにも気がついた。
これらを考慮すると、凹凸を無くす又は使用場所や形態を工夫することは、汚れにくい環境を作ることや掃除がラクな建材を考えるうえでも重要なことであり、掃除をラクにするためにも必要な要素といえる。

*建材を近づいてよく見たり、顕微鏡で見てみるとその表面は様々な形状をしており、単に表面の”粗さ”という観念だけではかたづけられず、”凹凸の頻度”とともに”凹凸の形状”も問題となる。なお、凹凸の程度が同じであっても、その突起やくぼみの形が鋭く、複雑な物ほど汚れがつきやすく、しかも付着した汚れは除去しにくい。これは、単に素材表面のことだけではなく、設計においても同じことが言えると考えている。
 

掃除方法の知識
多くの予防対策を行ったとしても、長年の生活に伴う経年の汚れは避けられないものである。汚れが付着してしまい掃除方法を考える際、汚れの現状分析で問題が生じたときでも、その後の掃除がラクな作業環境が確保されていれば、掃除がラクに行える。このことからも、掃除がラクな作業環境を確保することは掃除をラクにするために大切な要素といえる。

 
●3.2  掃除がラクになる法則(うえきの法則)
 

① 汚れにくい環境を作る
② 凹凸を無くす又は使用場所や形態を工夫する
③ 掃除がラクな建材(素材)を使用する
④ 掃除がラクな作業環境を確保する

各法則は、それぞれが互いに矛盾しないように、組み合わせて使用することで、大きな効果を生むものである

法則の内容は、いわれてみればあたりまえのことのようだが、以外にできていないものである。掃除がラクになる法則は、住まいを新築およびリフォームする際に、4つの項目を考慮する事で、居住後の掃除をラクにするためのものである。掃除に関する問題点を、常に4つの視点から対策を考えて、一つでも多く採り入れることによって、1つの対策が故障やアクシデントにより機能しなくなった場合でも、その他の対策でフォローするなど、様々な状況を想定して対応できるようにする事が、長期間に渡り掃除・メンテナンスをラクにすることとなる。

3.2-1 汚れにくい環境を作る
汚れにくい環境を作ることで掃除をラクにする。極論を言うと、汚れなければ掃除をすることもないのだが、現時点で汚れない環境を作ることはおそらく不可能である。したがって、掃除をラクにするための最も重要なことは、「汚れにくい環境を作る」こととなる。
汚れにくい環境を作るためには、最初に汚れについて考えなければならない。それは、掃除の対象となる汚れを特定し、その発生原因や性質などの分析結果をもとに、汚れにくい環境を作るための予防対策を考えるからである。

汚れにくい環境を作る手順
・汚れを特定する → ・発生原因や性質などを分析する → ・汚れの予防対策を行う

  
 

例えば、住まいの掃除対象となる汚れの分析結果を考慮して、汚れの発生量を減らすための対策や、掃除を行う素材(建築仕上げ材など)に汚れが付着しにくいまたは付着させないための対策を考える。室内環境で考えた場合、外部から室内へ汚れが侵入するのを防ぐなどの対策をすることで、汚れの発生量を減らすことができる。さらに、汚れが室内に侵入または室内で発生した場合でも、汚れを速やかに除去するための対策をしておくことで、建材や素材に汚れが付着するのを軽減してくれる。その他、生物的な汚れである場合には発生および発育させないための対策なども重要なこととなる。このように、掃除の対象となる汚れの発生原因や性質を知り、それらを考慮した様々な対策を組み合わせることで汚れにくい環境を作ることができる。また、室内の凹凸を無くしたり、掃除がラクな建材を使用したり、掃除がラクな作業環境を確保することで、掃除およびメンテナンスをラクにするなど、他の法則を採り入れて、汚れにくい環境を作ることも大切である。

3.2-2 凹凸を無くす又は使用場所や形態を工夫する
基本的に建物の形や建築材料の表面形状など、凹凸が無いほうが汚れにくく掃除がラクである。その反対に、凹凸の頻度や周期が多いほど汚れの付着面も多くなるので、掃除の作業量が増えるほか、凹凸の形状が複雑なほど汚れの除去は困難なものとなる。しかし、凹凸による素材の質感やデザイン的な長所などは捨てがたいものである。そこで、汚れの性質や掃除のことを考慮すると、汚れにくい凹凸があることが解った。凹凸にも汚れにくいものや掃除がラクなもの、掃除がラクな作業環境を確保するための凹凸など、使用場所や用途に応じて色々な凹凸があり、それらをうまく使うことで掃除をラクにする。また、凹凸は汚れやすいということを認識していれば、凹凸を多く使用する個所には他の法則を採り入れることで掃除をラクにすることもできる。

   

3.2-3 掃除がラクな建材(素材)を使用する
住まいの汚れは建材(素材)に付着するものであり、その建材には掃除がラクなものから大変なものまである。外装や内装材を選ぶ時、デザインや機能性で選ぶのも良いが、居住後の掃除も考えて選ぶ事が大切である。使用する建材の性質や、形状および使用場所などにより掃除作業に大きな影響を与える。物理的な性質で考えると、建材の表面が平滑・密であれば、汚れは付着しにくく、付着しても除去しやすいが、建材表面に凹凸や隙間が多ければ、汚れは付着しやすいし、付着した汚れを除去するにも困難を伴う。化学的な性質で考えると、耐水性や耐洗剤性などに優れた建材は掃除がラクといえるが、その反対に、水や洗剤に弱い性質や吸水性がある建材は掃除が大変といえる。
また、キッチンやお風呂場やトイレなどといった住宅設備も、各種建材の集合体として捉え、掃除がラクなものを使用する。あらかじめ掃除の事も考えられて作られた建材を使用することは、掃除をラクにする有効な手段でもある。このように、建材には掃除のしやすいものがあり、それらを使用することで掃除をラクにする。
 

   

3.2-4 掃除がラクな作業環境を確保する(設計、建材など)
掃除のしやすい作業環境を確保することで、作業時間と作業量の短縮を可能にする。設計の段階から入居後の掃除をイメージし、ラクな掃除方法を考えその対策をする。この時、居住者による日常的な掃除方法とその作業環境に加え、専門業者による掃除(メンテナンス)の作業環境も併せて対策する事で、長期的な維持管理をラクに行える。例えば、掃除用具などの置き場、掃除に必要な設備(電源や水栓などの場所)、メンテナンス用の点検口設置(床下や壁や天井など)、etcまで、居住後の掃除およびメンテナンスのラクな環境を整えるための対策を行う。

   

 

 

これらのことからも、「掃除がラクになる法則」は新築およびリフォームの際に、1つでも多く採り入れることで、住まいの掃除が今までよりもラクになるのであるといえる。

   

 

では、実際に法則をどのように住まいに採り入れていくのか?健康住宅「掃除がラクな家」とはどのように作るのか?など、その一例をつぎの第二編で具体的に説明していく。

 

第一編 ・・・ 完

連載:最終回 日経ホームビルダー「掃除がラクな家のつくり方」

建築業界初となる掃除専門家による連載! 雑誌「日経ホームビルダー」(2009年3月号・日経BP社)にて、クリーンプロデューサー「植木」による建築企画【掃除がラクな家のつくり方】の連載もいよいよ最終回。「掃除をラクにする新しい技術提案」と題して、掃除と経営戦略について、インタビュー形式で紹介しています。
これからの時代、家を建てた後から掃除を考えるのではなく、掃除メンテナンスを考えた家づくりを! ハウスクリーニングなど住居における掃除問題の解決手法を、掃除現場の声と共に家を建てる側の専門家に向けて情報発信をしていきます。
掲載内容は、当HPの連載企画 「掃除がラクな家の構想案」の一部を抜粋したものとなっています。

「日経ホームビルダー」は、工務店、ハウスメーカーをはじめ設計事務所、建材・設備会社などで戸建て住宅の設計、施工に携わる方々に、住宅の性能、コスト、顧客ニーズへの対応など技術や営業、経営、市場に関する最新情報やノウハウを読みやすく、わかりやすく紹介する実務情報誌です。
詳しくは: http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/HB/ 

 

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